セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.814『GS』

エンタメ・スポーツ

2020-10-12

 今月1日,女優・石原さとみ(33)が婚約を発表した。お相手は,「一般男性」と報じられたが,ネット上では“石原さとみと付き合える時点で「一般」ではない”などとコメントが寄せられた。(笑) さらに 8日には,その一般男性が「GS勤務」であるという報道が出まわり,ネット民のあいだでは“一般男性はガソリンスタンド社員?”“どうやって知り合えたんだ?”と,これまたかなりざわついたらしい。結局,「GS」とは,外資系金融・証券会社「ゴールドマン・サックス」のことで,年収数千万クラスのエリート社員だということが判ると,失望と落胆のコメントが相次いだ。


 “一体あんたら何を期待していたんだ?”と言いたくなるような,しょうもない勘違い話だが,GS業界で働く独身男性の中には,一瞬とはいえ“いい夢”が見られた人もいるかも。石原さとみが,高収入に魅せられてお相手を選んだのかどうか知らないが,全国の10~60代の男女1,733人を対象にしたある調査によれば,全体の47.8㌫が,「結婚相手の年収を気にする」と答えたそうだ。「ゴールドマン・サックス」には太刀打ちできないとしても,「ガソリンスタンド」も, 人並みのお給料がもらえる業界になってほしいと思う。

 とはいえ,幸せな結婚生活を送るために最も大切なものはお金ではない。例えば,20世紀初頭,ウォール街で“伝説の相場師”と呼ばれたジェシー・リバモアは一代で巨万の富を築き,特別仕立ての最高級のスーツを身にまとい,部屋が29もある大邸宅に住み,お抱え運転手付きの黒のロールスロイスに乗っていたが,その生活は心痛と災難と悲しみに満ちたものだった。結婚生活の破綻を繰り返し,息子たちとの関係も疎遠だった。ある日,彼は豪華ホテルのバーのカウンター席に腰掛け,革表紙のメモ帳に妻への遺書をしたためると,カクテルを飲み干してから薄明かりのクロークに入ってゆき,自ら命を絶った─。


 「愛がある家で野菜を食べる方が,憎しみの中で上等な牛肉を食べるよりも良い」という格言もあるとおり,人間は物質的に満たされることよりも,精神的に満たされるほうがはるかに大切なのである。コロナ禍で生活の不安が高まっている昨今,愛よりも「きょうのパン」の方が大切に思えるのは無理のないことだが,お金がありさえすれば幸せにはなれるという考えは馬鹿げている。


 それにしても,「GS勤務」の男性が,本当にガソリンスタンドの社員だったら…。


 国民的人気を博す女優がハンサムな大富豪と婚約したものの,フィアンセは金儲けのためには手段を選ばない冷酷な人間であることがわかり,ある夜大喧嘩となる。傷心のまま車を走らせた彼女は,給油に立ち寄ったGSで,冴えない男性従業員と出会う。“エンジンから変な匂いがしますよ。点検しましょうか?”と声をかけた従業員に,女優は八つ当たりし,酷い言葉を投げつける。GSを出てしばらくすると,案の定車はエンジントラブルを起こし,山中で立ち往生。携帯はフィアンセの家に忘れてきてしまって助けを呼ぶことができず途方にくれていると,さっきの従業員が軽トラで追いかけてくる。“こんなことになるんじゃないかと思ったので…”。


 こんな出会いから始まって,二転三転しながらも,女優は本当の愛に気づき,やがてGS従業員と結ばれハッピーエンド─。いまどき,こんな能天気なラブコメ,ハリウッドでも作らないと思うけど,すでに結婚を期に引退すると公言している石原さとみの最後の主演映画としていかがなものだろうか…。

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