セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.82『プリカ方式について』

GS業界・セルフシステム

2005-10-31

 10月半ば頃からガソリン価格は軟化傾向にある。今月はもう一段の下落が確実な状況なのだが、これは仕入れ価格が大幅に下がったためではない。このところの度重なる値上げですっかり売れなくなってしまったため、ずるずると値下げしているというのが実情なのだ。我々の業界では、値上げは鈍行並みだが、値下げは急行並みの速さで進む。やれやれ…。

 市況が崩壊するプロセスは、おおむね“アイツが下げたからオレも下げる”という、損得勘定度外視の、まるで子どものケンカのようなものなのだが、そのうえに、近年では、「プリカ価格」がヤリ玉にあがっているようだ。

 店頭表示価格は皆同じで、そこから会員価格として2~3円引きというところまでは、ほぼ“足並み”がそろっているのだが、その中の一件の店が「一万円プリカはさらに1円引き、2万円プリカは2円引き」なんて価格設定をするものだから「抜け駆けだ!」と騒ぎになる。プリカを販売する店にしてみれば、客に前払いである程度の量のガソリンを買ってもらうのだから、値下げサービスをするのは当前ということになるのだが、近隣のスタンドは、アドバンテージを与えてなるものかということで軒並みその価格に追従するというわけだ。

 私は、プリペイドカードがこのように「抜け駆け安売り」の常套手段として用いられていることに不満を持つ者である。プリカ方式によるセルフシステムを推奨する者としては、プリカがあくまでローコストの代金決済手段であるということを認識してもらいたいと願っている。店内精算も屋外精算も防犯対策に日々頭を悩ませる昨今、プリカ方式は、簡単かつ安全に売上金を回収・保管できる最善の方策である。故障頻度は著しく少ないうえ、修理もほとんどの場合店舗管理者の手で行なえるため、保守・修繕コストも格段に低い。カードのランニングコストを懸念する声もあるが、リユースが可能なため、当初より大幅に圧縮されている。こうして、従業員が一人でも24時間安全に営業することができるのが、本来のプリカ方式セルフの利点なのである。

 したがって、私の店では、千円プリカも、一万円プリカも皆同じ単価設定となっている。「貧乏学生から金持ちマダムまで皆平等に扱う」というのが当店のモットーなのだ。時々、「オレはいつも一万円プリカを買っているから、少しぐらいまけてくれないか」と客に言われることもあるが、先のモットーを説明して理解を求めている。

 実際のところ、千円プリカは、購入したらほとんど一回の給油で使い切ってしまうため、無傷で読取機に回収される。つまり、何回でもリユースさせることができるのだが、一万円プリカは、大型トラックのタンクに満タン給油でもしない限り、大抵、残金を残して返却するため、カードにパンチ穴を開けねばならない。そのプリカは次回残金を使い切って回収しても、リユースすることはできない。つまり、高額プリカのほうがカードコストは高くつくという訳だ。したがって、できる事なら、一万円プリカの客には一円か二円高ぐらいで販売したいぐらいなのだ。それに、お金持ちの客からたくさん儲けさせていただくのは、道理にかなっていると思うのだが…。

 いずれにせよ、プリカで値引き販売をするにしても、昨今の高値水準では、一万円や二万円程度の前払いでは、値引きするだけの利益もない。ならばいっそのこと「100万円プリカ」を作って、リッターあたり20円引きぐらいで売ってみてはどうだろうか。

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