セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.83『世代間対立』

社会・国際

2005-11-07

 ライブドアとフジテレビの闘いが終わったかと思えば、今度は楽天とTBS。“ヒルズ族”と呼ばれる若きIT長者が、保守的体質の色濃い放送会社を支配しようとして大騒ぎ─という構図は今回も同じだが、ライブドアの時と少し違うのは、いわゆる財界の長老たちの反応である。

 ちょうど一年前、東北にプロ野球々団を創設しようとしてライブドアと楽天が競り合った結果、楽天に軍配が上がったのは、楽天の三木谷社長が、財界人たちと親交が深く、受けが良かったからだと言う。ところが、あれから一年経って、自分たちの可愛い子分と目していた三木谷氏が、ホリエモンに勝るとも劣らない強固姿勢で乗り込んできたものだから、爺サマたちは裏切られたという思いが強く、怒り心頭なのである。

 しかし、これは如何ともしがたい問題である。なぜなら、そこには世代間対立という容易ならざる問題が存在しているからである。古今東西、世代間のギャップから生まれた摩擦や軋轢は、社会や経済や文化、ひいては国家体制そのものを変革させるほど大きなエネルギーを生み出してきた。過去の成功体験を持つ世代と新たな変化を欲する世代、既存の利益を守ろうとする世代と現状を打ち破ろうとする世代の争いは、今後も様々な分野で繰り返されることだろう。

 今回の楽天とTBSの問題においても、インターネットとテレビとの融合がなぜ重要なのか旧世代には理解できず、なぜ必要ないのかが新世代には理解できないのだ。双方が妥協するか、行くところまで行くしかない。野次馬の私としては、後者の結末の方を見てみたい気がする。

 ガソリンスタンド業界においても、こうした争いはしばしば生じてきた。たいていの場合、それは父と息子の争いである。前経営者である父は、息子に経営権を譲りはしたものの、まだまだ心配でしょうがない。一方、若社長は、会社の将来を考えると、このままではイカン、何とかせねばとイライラ。あれこれ考える中で、セルフ化を思い立つ。オヤジに相談すると、「大切なお客様に給油させるってのか!?」「永年働いてきた従業員をクビにするつもりか!?」と反対される。「分からず屋のオヤジめ!」ということになりケンカとなる。

 逆の例もある。人手不足に悩まされてきたオヤジさんは、この際セルフ化して楽をしたいと考える。ところが、息子の専務は猛反対。「セルフにしたら客とのコミュニケーションがとれななって付加価値が下がるじゃないか!」「感動を与える店頭サービスで顧客満足度を高めるべきだ!」などと言い返され、「やれやれどこかのセンセイの受け売りしやがって」ということでやはりケンカとなる。

 実際、私のところにセルフ化の相談に来られるスタンド経営者の中にも、「最大の難問はオヤジをいかに説得するかだ」とこぼす方や、「息子が理屈ばっかこねてねぇ」とぼやく方がいらっしゃる。もちろん私は、年代を問わずセルフ派の方の側に着かねばならない立場なのだが、“急いては事を仕損じる”のことわざ通り、じっくり反対派のリーダー(オヤジあるいはせがれ)と話し合ってくださいと助言させていただいている。

 また、同じセルフシステムでも、親父さんは、シンプルでローコストなプリカ方式を望むのに対し、息子さんは、現金はもちろんの事、プリペイド、クレジット、デビットの各種カードにも対応できるフルスペックを望むといった具合に意見が分かれたりする。当然私は前者の肩を持つわけだが、こうした対立の根底には世代間ギャップがあって、なかなか折り合いをつけるのは難しい。もちろん、反対している人を説得させるだけの理論は持ち合わせているつもりだが、「とにかくオヤジのいうことには従えない」とか「息子のやることは何が何でも叩き潰す」なんていう感情的な争いになってしまっては、さじを投げざるを得ない。こちとら親子喧嘩の仲裁をするほどひまではない。セルフ化にあたっては、世代間のギャップを越えた、冷静で建設的な話し合いをお願いしたいものだ。

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