セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.84『系列離脱』

GS業界・セルフシステム

2005-11-14

 ガソリンスタンドの経営者ならだれしも一度は考える事─それは、「系列離脱」ではないだろうか。仕入先である元売会社とは、特約店契約という“親子の契り”を結んでいる。しかし、仕入れ価格や経営方針などで次第に親への不満や不信がつのり、絶縁を考えるようになる。ひと昔前なら、子が「出てゆく」と言い出すと、親の方が歩み寄り、それなりの“飴”もくれたりして、「やっぱり何だかんだと言っても親子だよなぁ~」ということになっていたのだが、最近では、「出てゆく」と切り出そうものなら、「どうぞご勝手に」とあっさり言われてしまうらしい。

 度重なる合理化を推し進めた結果、いまや元売は、商社や販社により事実上直営体制を築きつつあり、あれやこれやと文句や駄々をこねる特約店は足手まとい以外の何者でもないと考えている。実際、零細特約店に対する仕切り価格は、100㌫出資販社の店頭販売価格よりも割高だったりして、暗に“しがみついていないでさっさと系列から出てってくれ”と言わんばかりの仕打ちを受けている。

 そうならそうで、話は早い。いまや元売と特約店との関係は、切っても切れない親子の関係から、ハンコをついたその日から他人同士となる夫婦の関係へと変わってしまった以上、ウェットな感情は捨てて、新しいパートナーを見つける(転籍)か、独身生活の自由を謳歌(無印)する道を選べば良い。元売系列から離脱し、独立系スタンドの道を選んだある経営者は、その時は「清水の舞台から飛び降りるつもり」だったが、後に、あの時自分が飛び降りたのは「アウシュヴィッツ行きの列車だった」と述懐していた。確かに、自分の店の運命は、自分自身で決めるべきであり、元売に決めてもらうべきものではないのだ。「言う事を聞いていれば悪いようにはしない」との甘言に従って行き着いた先がガス室ではたまったものではない。生き延びたいのであれば、スタンド経営者一人一人が自己責任を持って決断・行動しなければならない。

 しかし、系列からの離脱は、単に仕入先を変えるという単純なものではない。独立系スタンドの道を歩むともなれば、それまで元売にしてもらっていた、おんぶ(事後調整)や抱っこ(信用保証)やおしっこ(赤字補填)といった世話はもはやない。覚悟を決めて、一からのスタートを切るわけだが、実はこの時こそが、セルフ化の最適なタイミングではないかと思う。

 セルフ化によって、それまでの顧客(とりわけ掛売客)との間で続いていた、コストのかかる商慣習をリセットすることができる。元売との間をつなぐ“へその緒”であったオンライン・システムを断ち切ることで、顧客管理も簡素化できる。その際、プリカ方式で100㌫現金化できればいうことなしだ。

 従業員の雇用問題も、これを機に見直すことができる。もはや元売が策定した雇用マニュアルなどに縛られる必要はない。セルフ化により、それまで人手不足のためやむを得ず雇っていた従業員に、「戦力外通告」を、一方で、能力ある従業員を油外販売などに専従させることによって、P・ドラッカーの言葉どおり「従業員をコストではなく資産として」有効活用することができる。

 元売の隷属下から飛び出し、自己の責任のもとに自由な発想でスタンドを経営したいと願う人にとって、ローコスト・セルフはきっと有用な備えになると確信している。元売は、自分たちのもとから出て行ったスタンド経営者など、どうせ野垂れ死にすると思っているかもしれない。どっこい、そうは行くものか!きょう日、ガソリンなんてだれでも買える!業転ガソリンとローコスト・セルフシステムで独自戦術編み出して、系列店を見返してやる!系列離脱なんて怖くない!「あとは度胸と決断力!」─マーフィ岡田。

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