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和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.873『コロナという劇薬』

オピニオン

2021-11-29

 『国立がん研究センターは25日,全国のがん診療病院などで2020年に新たにがんと診断された人は,19年と比べて6万人減ったと発表した。増加傾向にあるがん患者数が実際に減ったとは考えにくく,新型コロナの影響で,検診や受診を控える人が増えた影響とみられる。今後,がんの発見が遅れ,進行した状態で見つかる人が増えると懸念される』─11月26日「東京新聞」。

 日本では毎年30万人を越える人ががんで亡くなっているが,これが大幅に増加することは必至と見られている。コロナと診断されて亡くなった人以上にコロナの影響で他の病気の発見が遅れ,初期の発見が出来ずに結果的に寿命が縮まった人が多いということになる。そう考えると,改めて,コロナという感染症は未知数で恐ろしいものだなと思う。

 私も,毎年健康診断を行っていたが,昨年はパスした。もしかしたら,「6万人」の中に含まれているかもしれない。日本のがん治療による5年生存率は67~8㌫と世界トップレベルにあるが,これは国民皆保険制度の下でがん検診が全国あまねく普及し,早期発見・早期治療が普及しているからにほかならない。昨年後半から生じた医療パニックがこの流れを阻んだことは間違いない。

 だが,もしかしたらがん患者は本当に減少しているのかもしれない。コロナ禍により経済活動が停滞したことで,空気が澄んできた,水がきれいになったとの報告が世界各地から寄せられているそうだが,同じ理屈で,コロナによって夜遅くまで飲み歩くことがなくなり,就寝時間が早まり,リモートによって通勤や対面のストレスが無くなる等々で,がんの罹患率が低下しているとしたら…。

 あるいは,こんなことは考えられないだろうか。以前聞いた話なのだが,ローマにマラリアを媒介する蚊が生息する沼があったため,その沼を埋め立てたところ,周辺地域でがん患者が増え,それがヒントとなって「がん温熱療法」が生まれたという。もし,コロナによる発熱によって,それと同じようなことが起きているとしたら…。まあ,一笑に付すような話かもしれないが,コロナが人類の健康にどのような変化をもたらすかはまだ解明されていないわけで,もしこの恐ろしいウイルスががん撲滅に応用できるとすれば“災い転じて…”ということになろう。

 日本では“もうコロナは終わったの?”と思えるほど感染者数が激減しているが,その理由についてはあれこれ分析されてはいるものの,本当のところよくわかっていない。わかっていないから不気味だ。それに,おとなりの韓国や欧州では過去最大級の感染爆発が生じており,数ヶ月後には日本も同じようになると予言する人もいれば,日本人は諸外国と比べてマスクの着用や行動抑制が守られているので大丈夫だという楽観論まで様々。だれの意見を信じてよいのやら。

 しかも,このたび南アフリカで新たな変異株「オミクロン」が確認されたというではないか。なんでも,デルタ株以上の感染力を持っていて,現在のワクチンの抗体が効かない変異株なんだとか。実態についてはこれから解明されるとのことだが,市場はそれを待つことなく反応し,先週末には世界同時株安となった。原油価格も急落。ニューヨーク原油先物相場では,WTIが約2ヶ月半ぶりに1バレル=70ドルを割り込んだ。元売りに補助金出す話は立ち消えとなりそうだな。

 それにしても,ウイルスというのは凄いもので,より自分たちが寄生しやすいように,より自分たちの仲間が増やせるように,感染しやすいものへとどんどん変異してゆく。その適応力や迅速性は人知をはるかに超えたものと言わざるを得ない。コロナに感心してちゃいけないんだろうけれど,例えば,京セラの「アメーバ経営」ならぬ「ウイルス経営」とでも命名して,コロナの特性を研究し,経営モデル化してみてはどうだろう。経営環境の変化にどのように業態を“変異”させて行けば良いか,顧客を“増殖”させるためにどのように宣伝してゆけばよいか─。

 コロナは人類にとってかつてない脅威ではあるが,一方でこれまで人類が築き上げてきた文化や経済や宗教など,様々な分野に否応なく変化をもたらす劇薬の役目を果たしているのかもしれない。いぜれにせよ,コロナとの付き合いはまだ当分続きそうなので,コロナをただただ怖がるのではなく,この状況をどうやったら上手く利用できるかを考えて行きたい。とりあえず,2年ぶりの健康診断に行ってまいります…。

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