セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.900『6月6日』

社会・国際

2022-06-06

 6月6日は『ワイパーの日』。ワイパーブレードのメーカーで構成する日本ワイパーブレード連合会が2017年に制定したそうで,6月はワイパーがよく使われる梅雨の時期であり,ワイパーは2本1組であることから同じ数字が並ぶこの日を記念日とした。GSでもこの時期,ワイパーの販売キャンペーンが恒例だが,ネット掲示板には「ガソスタ新人社員です。今月ワイパーのキャンペなんですが,まだ8本しか販売できていません。どんなセールストークだったら不愉快に思わずに買われたいと思われますか?」という健気な質問があった。それに対する回答は,「前もって天気予報を調べて,雨の日に集中的に(交換を)勧める」とか「ウォッシャー液をサービスしてあげてからおもむろに…」など。中には「給油口の裏に水抜き剤ののステッカーが貼ってある客はカモ」なんてアドバイスも…。そんなことは思っていても言っちゃだめよ。

 歴史上もっともよく知られている6月6日といえば,やはり『Dデイ』ではないか。1944年,連合軍15万の兵員が仏・ノルマンディ海岸に上陸した。4千人を超える死者を出しながらも「史上最大の作戦」は成功。以後,東から迫るソ連軍との挟撃によりナチ第三帝国を壊滅へと追い込んだ。この作戦の成否を分けたのは天気予報だったと言われている。当初,作戦は6月5日に決行予定だったが,ノルマンディ地方の詳細な気象情報を仏国内のレジスタンスから入手していた連合軍は,当日が悪天候のため不利と判断,一時的に回復する翌日に変更した。一方,それまでに空爆で多くの気象観測所を失っていたドイツ軍は,悪天候が3~4日は続くと見ていたため奇襲を受ける形となり,効果的な反撃ができなかった。

 いま,東欧ではロシア軍とウクライナ軍が死闘を繰り広げている。1941年にソ連侵攻を決意したヒトラーは,二正面戦争になることを危惧する軍幹部の前で,「ロシアは土台が腐った納屋だ。扉を一蹴りすれば倒壊する」とうそぶいたと言う。プーチンが「ウクライナは土台が…」と言ったかどうかは知らないが,ここまで苦戦を強いられるとは思っていなかっただろう。その間に,21世紀の連合軍「NATO」の支援を受けたウクライナ軍の反撃を受け,すでに9年間続いたアフガン戦争と同水準の1万5千人の戦死者を出したと言われている。戦闘が長引き,ナポレオンやヒトラーをも打ち負かした冬将軍が到来したら…。焦ったプーチンが次に何をしでかすかと思うとぞっとする。

 6月6日は欧米では『恐怖の日』としても知られている。その由来は新約聖書の「ヨハネの黙示録」に由来する。十二使徒の一人 ヨハネは神から啓示を受けてこの書を記し,その13章には『聡明な者は,野獣の数字を解き明かしなさい。…その数字は666である』とある。1976年製作のホラー映画『オーメン』で,この数字は日本でも広く知られることになったが,聖書中で「完全性」を意味する数字“7”に達しない“6”が三回繰り返されていることから,“666”は悪魔の数字として恐れられているのだ。

 黙示録にはほかにも興味深い予言がある。それは6章で登場する「四人の騎士」。白馬に乗った第一の騎士であるキリストが疾駆したあと,火のように赤い馬に乗った騎士が現れる。『それに乗っている者には,人々がむざんな殺し合いをするよう地から平和を取り去ることが許された』とあり,戦争による殺戮を表している。次に黒い馬に乗り天秤を持った騎士が続き,『小麦一リットルは一デナリ,大麦三リットルは一デナリ。オリーブ油とぶどう酒を損なうな』と叫びながら走り去る。これは飢饉が生じることを予告している。最後の騎士は青ざめた馬に乗っており『それに乗っている者には“死”という名があった』と記されており,疫病の到来を告げている。

 戦争・飢饉・疫病─人類は常にこれらの災厄に苦しんできたが,21世紀の現代,まさに世界中をこれらの騎士たちが疾駆していると言えまいか─。『ワイパーの日』なんてアホみたいな話題で始まったが,着地点は恐ろしい話になり,収拾がつかなくなっちまった。(汗) とにかく,先の見えない,対処しにくい時代を生きてゆくためには“心のワイパー”を動かして,常に視界良好,安全走行を心がけてゆきたいと思う…。(苦)

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