セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.907『スシロー!』

オピニオン

2022-07-25

 『回転ずしチェーン「スシロー」を展開するあきんどスシローは13日,生ビール半額キャンペーンの告知物を,開始の数日前から誤って一部の店頭で掲示していたと発表した。スシローは「誤解を招くものだった」と陳謝し,告知物を見てビールを注文した客に1杯あたり264円の差額を返金する。告知物には「何杯飲んでも生ビールジョッキ半額」や「7月28日まで」と記される一方,開始日(13日)は記載されていなかった。ツイッターなどでは,告知物を見て半額だと思って注文した,といった投稿が相次いでいた』─7月13日付「讀賣新聞」。

 「スシロー」は先月,ウニやカニなどを提供できないことがわかっていながら,CMなどでキャンペーンを続けたことが「おとり広告」にあたるとして,消費者庁から再発防止を求める措置命令を受け,親会社のFOOD&LIFE COMPANIESの水留浩一社長が7月から3カ月の間,基本月額報酬の3割を自主返上すると発表したばかりだった。ところが,今回のキャンペーンも,陳謝したあとから,さらに否定的な報告が続々寄せられているという。「生ビールジョッキが広告より小さくないですか?」とか,「半額の生ビールが品切れ中で頼めなかった!」など,ブーイングの嵐が起きている有様で,「スシロー」は釈明や謝罪に追われている。

 「スシロー」は,一連のトラブルについて,本部と店舗との意思疎通がうまくいっていなかった云々の説明しているようだが,根本原因は現場のオペレーションの拙さではなく,企業体質にあったのではないか。つまり,客を騙す事が当たり前で,座らせてしまえばそのまま帰らないだろうというのを見越した“やったもん勝ち”の悪質商法だったんじゃないかと。現在約650店舗を展開する回転寿司チェーントップの「スシロー」は,前出の水留社長によれば,2030年ごろまでに,日本の外食企業で初の連結売上げ1兆円を目指しているという。21年9月期のそれは約2400億円だから, 「(売上高2兆円を超える)米国・マクドナルドと戦えるような存在になり,外食を日本の基幹産業の一つにしたい」(水留社長)という野望を達成するためには,海外展開も含め,モーレツな勢いで売上げを伸ばさなくちゃならない。そのプレッシャーが,今回のような酷い商法に繋がったのではないか。

 石油業界でも,企業体質を問われるような出来事が時々起こる。最近では,5月の出光興産に続きコスモ石油もグループ会社3社がガソリンなど一部の石油製品を製造した際,法定検査などをスルーして出荷していたことを発表した。1990年代から続いていた“慣習”だったようで,例によって「品質には問題ありません」とのこと。コスモ石油は,過去にも,ハイオクの品質表示や,子会社の車検費用の表示などで不当表示の指摘を受けている。「スシロー」のことをとやかくは言えないね。GS業界も,税抜き価格や小数点以下の価格を表示して,少しでも安く見せようとする看板が散見される。また,でっかく表示した安値の下に,ちいちゃく「店内最安値」,つまり会員クレカや高額プリカによる価格であることをうたっているものもある。どれも「スシロー」的発想と言えまいか。

 ところで,個人的にはあの“回転寿司”というのが,どうにもしっくり来ない。私の記憶が確かなら3回しか行ったことがない。それも20年ほど前の話だから,いまの回転寿司を語る資格はないのかもしれないが,とにかく,寿司がベルトコンベヤーに乗って運ばれてくることに対する違和感を拭うことがきない。いろいろな寿司がだれかに食べられるまでぐるぐる回り続けているなんて…。回っているあいだに表面が乾いたり,なま温かくなったりするんじゃないか…。それに,運ばれてくるものは寿司だけじゃなく,から揚げやら,ラーメンやら,ケーキやらと何でもあり。寿司は“ハレの日”に食べるものと位置づけている私にとって,ファミレスみたいなところで寿司を食べるのは何とも…。そう言えば,「スシロー」のサイドメニューのひとつである「とろーりクリームの抹茶ガトーショコラ」が,PR写真と異なり,クリームが「とろーり」としていないうえ,抹茶パウダーが降りかかっていないとのクレームを受け,こちらも謝罪に追い込まれたとか。「スシロー」は,いったん立ち止まって“あきんど”の何たるかをいま一度問い直すべきではないか…。

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