セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.913『試練の秋』

政治・経済

2022-09-05

 『「値上げラッシュ」が続く。上場する主要飲食料品メーカー105社における、2022年以降の価格改定計画を調査した結果,8月末までに累計2万56品目の値上げが判明した。さらに,9月単月の値上げは2424品目に上り,今年初めてとなる2カ月連続・2000品目超の値上げとなった。なお,10月には6500品目という,これまで年内最多だった8月の2.5倍となる空前の値上げが控えている』─9月1日付「帝国データバンク」。

 2年前,パンデミックによって原油価格がマイナスとなったトラウマを抱える産油国が,なかなか原油の蛇口を緩めず,物流コスト,包装資材の高騰が続いていたさなかに,大穀倉地帯を抱えるウクライナが戦場となるに及んで,食用油,小麦といった原料も暴騰。とどめは「悪い円安」。9月1日にはついに1ドル=140円の大台まで下落,24年ぶりの円安水準となった。こんな事態をだれが予想しただろうか…。

 しかし一方で,高級おせち料理の予約は好調と聞くし,高額なゲーム機は予約待ちの状態だという。「ガリガリ君」が30円値上がりすると騒いでいる一方で,一杯2千円もするかき氷の店に2時間待ちの行列ができたなんて話を聞くと,ホントにみんな“大変だ~”と思っているのか? と感じることもある。激安スーパーで買い物する人が,カゴいっぱいに買い込んでいる光景を見ると,それ,全部食べきれるの?フードロス出すなよ,と余計な心配をしてしまう。

 とはいえ,これが30円,それが50円,あれも70円…という具合に支出が増えてゆけば,家計にはボディブローのように響いてくるのは確か。一般庶民の身としては,やはり生活防衛のため倹約に励まねばなるまい。稼ぎの少ない“油屋の女房”は,スーパーで賞味期限が近づいた値引き品や,割引クーポンが使える商品を買うことに余念がない。夫婦共々,賭け事はしないし,金のかかる収集癖もない。酒も煙草もやらない。それなら貯まる一方かといえば,そういうわけでもない。何だかんだと出費がかさむ。我が家のお札には羽根が生えているようだ。

 食料品と共に多くの家庭を悩ませているのは燃料費。こちらはおかげで“売るほどある”ので比較的安く購入できるのだが,仕入れ価格ベースで昨年の9月に比べて15円,一昨年の9月とでは40円も値上がりしている。ガソリン価格はやはり異常といえる。一国の政権を崩壊させかねないほどの事態だ。政府は10月以降も石油元売への補助金拠出を継続することを検討しているようだが,何から何まで値上がりしている現状では“何でガソリンだけ?”と他の産業から文句を言われそうだ。

 ところが,3月から首相肝煎りで始まったこの政策,当初からすこぶる評判がよろしくない。ネット上では依然「ガソリン税下げろ」,「二重課税やめろ」といった声が圧倒的に多い。補助金がなければ,本来は税込み200円ぐらいになっているというのに,感謝されるどころか愚策と批判される始末。お気の毒なことです。確かに,毎週ウチの店にもヒアリングの電話が掛かってくるんだけれど,カネとヒトを使ってそんなことやらなくても,「gogo.gs」を見れば簡単に調べられると思うんですがね。やっぱり,お役所仕事って無駄が多いんだなと実感してしまう。いずれにせよ,原油価格が80㌦ぐらいに下がってきても,いまの円安水準が続くようだと,補助金を延々と払ってゆくことになりそうだ。GS業界としては,灯油の価格も含め,「適正な価格」で販売してゆくことが肝要だ。

 それにしても,宇露戦争は終結の見通しがまったく立たず,まだ数年間続くのではないかという悲観的な見通しも報じられている。核戦争の危機をはらんだまま,私たちはこれからも先の見ない毎日を過ごしてゆかなければならないのだろうか。まったく気が滅入る。せめてもの景気づけに,先日亡くなったミハイル・ゴルバチョフ氏の言葉を引用してみたい。「人間は試練に立ち向かう強い心を常に持たなければならない。不幸や敗北に屈しない勇気と頑強さ。そして困難のときこそ自身を試すという決意なくして本当の人生を生き抜くことは難しい」─。

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