セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.93『少子化とローコスト・セルフ』

GS業界・セルフシステム

2006-01-23

 少子高齢化が進む国、日本─厚生労働省によれば、昨年、日本の人口は明治以来、戦時を除いてはじめて減少した。昨年の新生児の出生数は過去最低の106万7千人。この数は出生数が最大であった1949年と比べると、60%もの減少だと言う。新生児がここ5年の平均である2万5千人のペースで減り続けると、2008年には年間の出生数は100万人を割り込むことになる。

 その一方で死亡数は上昇する。2003年から日本は百万人死亡時代に突入しており、四半世紀スパンで平均をとると、毎年40万人が減少する計算となる。これは東京・町田市や大阪・豊中市の人口に相当する。そして、2040年には団塊の世代が90歳代に突入、人口は毎年90万人規模で減少する。毎年山梨県の人口が消失していくことになる。

 人口が減るということは、顧客となる人が減少することを意味し、あらゆる業種で市場が縮小する。もちろん、ガソリンスタンド業界にとっても、深刻な現象である。ここ数年、ガソリンスタンドは毎年千件以上のペースで減り続けているが、そのスピードはさらに加速しそうだ。一方、その間着実に増加してきたセルフスタンドだが、そのスタイルもまた、少子高齢化の流れの中で変化せざるを得ないのではないだろうか。

 年々、来店する客の高齢者の比率は高くなってくる。おじいちゃんやおばあちゃんのドライバーが安心してセルフ給油を行なうためには、その操作手順を出来る限り単純なものにする必要がある。ボタン操作はワンタッチか、せいぜいツータッチまで。“現金かクレジットかプリカかを選択せよ”“数量や金額を指定せよ”“カードはそこに、お札はここに入れよ”“釣り銭のある方はあちらでどうぞ”などなど、まるで宮沢賢治の『注文の多い料理店』みたいなセルフシステムは、高齢者にとって不親切である。一方、プリカ方式を採用しているセルフは、そのシンプルな操作性から、高齢者から「これならわしでもできる」との評判を得ている。

 少子高齢化は、スタンドの労働人口の低下も生じさせる。同時に、スタッフの高齢化という問題も顕在化する。スタッフが一人でも、それも、高齢者であっても、安全に監督・運営ができるローコスト・セルフシステムの必要性は、今後ますます大きくなってゆくだろう。ローコスト・セルフは、客の高齢化だけでなく、従業員の高齢化にとっても“優しいシステム”なのだ。

 そもそも、少子高齢化を防ぐ唯一の道は、人口の増加、つまり新生児の出生率を上げることである。女性への労働機会の向上、育児への理解と援助、生みやすく育てやすい社会作りなどがそのための対策としてあげられているが、ガソリンスタンド業界としてもこれに何らかの仕方で参画できないものか。

 セルフスタンド、それも、給油のみ、プリカ方式によるローコスト・セルフシステムであれば、子育て真っ最中のママさんスタッフ(パパも可)が、育児をしながらスタンドの店番をすることができる。最近、トイレに乳幼児のオムツを取りかえられるようベビーシートを設置しているスタンドを見かけるが、いっそのこと、従業員用にベビーベッドや授乳室などを監視室内に設けるのはどうだろうか。学齢期の子どもを持つ従業員のために託児制度を導入し、子どもの宿題を見てやりながら業務を行なってもらっても良い。こうして、子育て世代への支援を促進することは、雇用面のみならず、「増子化」を促進する事にも貢献するのではないだろうか。猪口大臣、いかがですか?

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