セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.930『予測』

社会・国際

2023-01-02

 月間情報誌「日経トレンディ」の2022年12月号の特集記事,『2023年ヒット予測ランキング』によると,第1位は「コンビニジム」。その名のとおり,コンビニエンスストアのような規模・立地のスポーツジムのことだそうな。パンデミックによって大打撃を被ったスポーツクラブ業界の救世主となり得るか,注目が集まっている新業態だ。

 経産省の調査によると,コロナ前の2019年のフィットネス市場規模は336万人(会員数)だったのに対し,2020年は268万人と1年間で約20㌫落ち込んだ。その後も,度重なる“波”に見舞われたうえ,光熱費高騰などによる会費値上げの影響もあって,260~70万人で横ばい状態が続いている。

 スポーツクラブという業態は,昭和の東京オリンピック後に,「スイミング指導」を主としたものがその原型といわれており,当初はジムやプール,スパなどを備えた「大型・総合型」が主流だったが,その後,健康ブームに乗ってプールやスパのない,ジムに特化した店舗が急増した。コロナ前は,閉鎖されたファミレスやガソスタの跡地にジムがオープンする様子がしばしば見られたが,「withコロナ」時代は,もっとコンパクトで低価格にしないと市場回復は難しいとの見立てで,とうとうコンビニサイズのジムが出現したというわけだ。

 これを仕掛けたのは独特のテレビCMで知られる「RIZAP」で,ブランド名は「chocozap(ちょこざっぷ)」。これまで「短期間・マンツーマン」で高い効果を上げ,パーソナルジムブームを巻き起こした同社が,真逆ともいえる,大衆向けの業態を立ち上げたというわけだ。「chocozap」の会員価格は月額2980円(税別)とかなりの低価格で,24時間365日,全店利用可能とのこと。「1日5分の運動で健康になれる」というのが謳い文句。23年3月期末に300店を目指し,26年3月期には2000店体制を目標としている。

 私は,もしこの業態が予言どおりヒットするなら,店舗駐車スペースにEV充電器の設置が必須になるとにらんでいる。50kw程度の急速充電器で30分程度を要する充電時間は,“ちょっとエクササイズ”する時間とちょうど良い相性のような気がするのだ。また,「健康」と「環境」は同じ志向性を持っているとも思う。コンビニジムのヒットは,長らく懸案だったEV充電拠点の普及を急速に促進させるかもしれない。

 「日経トレンディ」のランキング第2位は「ステルス家電」。何それ ? 「家具と家電が融合したもの」の総称なんだそうで,例えば冷蔵庫とテーブルが一つになった製品やバスマットと体重計が一つになった製品など,要は一つの製品で家具と家電が“一石二鳥”のようになっている物のことを指している。なぜ,そんなものがトレンドになるかというと,やはりコロナの影響らしい。コロナ禍で増えた在宅時間を少しでも快適に過ごそうとする中で,本来なら置かない場所に違和感なく置ける家電や,出しっ放しにしておいても邪魔にならない形状の家電のニーズが生じたということだ。

 ただ,まだまだ種類が少なく価格も高い。ドリンククーラー,ワイヤレス充電器,Bluetoothスピーカーを搭載した「スマートテーブル」なるものが,17万6000円(税込)って…。ほんの数歩で冷蔵庫にたどり着ける我が家にはまったく必要ない代物だ。むしろ2023年は本腰を入れて“断捨離”に取り掛かろうかと…。

 ガソリンという商品は,「ステルス製品」という点においては人後に落ちない。石油税も環境税も消費税も一緒くたに“こっそり”組み込まれているうえに,補助金も混ざっている。給油しているガソリンの正味の価格が幾らなのかわかっている消費者はほとんどいないんじゃないか。ちなみに今週は大幅値上げとのことです…。

 そもそも,今年どんな商品がヒットするかなんてことを予測している場合かよ,と思っている人は少なくないのでは。去年のいまごろ,ロシアがウクライナに攻め込むなんてほとんどの人は予想していなかった。エネルギー不足,半導体不足によってあらゆる産業が苦しめられ,いま世界中が未曽有のインフレの直中にある。もし,限定的であれ核兵器が使用されたら世界はどう変貌してゆくか─。そんなことを考えていると,予測すること自体が無意味に思える。きょう一日が災禍なく過ぎればそれでよしとしよう。今年もよろしくお願いします…。

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