和田 信治
オピニオン
2006-01-30
「もしもし、和田さんですか?私、○○という者です。いつも油業報知新聞のコラム読んでいますよ。実は、セルフの事でちょっとご相談が…」─最近、こんなお電話をちょくちょく頂く。こんないいかげんなコラムを毎回読んでくださっているなんて、恐縮の限りではあるが、下手な紙つぶても、投げ続ければそれなりの反響があるのだなと感じるきょうこの頃である。
このコラムがきっかけで知り合い、ローコスト・セルフへの改造を決意され、お手伝いさせていただいた方もある。また、すでにセルフスタンドを経営しておられる方も、意見交換させてくれということで、わざわざ愛知県の片田舎のスタンドまで訪ねてきてくださる。
先日も、関東の独立系セルフスタンド経営者のY氏の訪問を受け、ローコスト・セルフ方式について意見交換をすることができた。「ローコスト・セルフかく在るべし」と語るY氏の言葉に膝をたたき、食事をするのも忘れて話し込んだ。
「それにしても、まだまだ皆さん、コストのかかるセルフをやってらっしゃいますよねぇ」
「いいじゃないの、和田さん。そういう人たちがたくさんいてくれるおかげで、わたしたちの生きる場所があるんですから」
「それもそうですね、ワハハハ」─。
海外のセルフ事情にも精通しておられるY氏の話は実に興味深く、大いに啓発を受けた。本来なら、こちらがお礼をしなければいけないところなのに、後日、先日のお礼にと図書券をお送りいただいた。「もっと本を読んで勉強しなさい」という励ましがこめられた心温まる気遣いに感謝。
訪問者の中には、まれに元売や商社の方もおられる。大型セルフへの投資が一段落し、今後は中小規模のスタンドのセルフ化が課題ということで、当社のセルフシステムを視察してゆかれる。大抵は、「ふ~ん」といった感じではあるが、いろいろお話を聞いていると、当初は予想以上の成果を収めた大型セルフ店も、最近の競争激化で苦境に立たされており、頭を痛めておられるようだ。フフフ…。
大手販社が、傘下の販売店の活性化策として、セルフ化の相談に来られることもある。実際に、販売店主のご夫婦や親子を連れて視察に訪れることもあり、中にはお孫さんまで一緒のこともあった。
計量機やPOSといった設備メーカーの方が来られることもある。こうした方々とは、セルフシステムにおける技術的な情報交換をさせていただいている。ああでもない、こうでもないと話しながら得た教訓の一つは、“システムはいつも使う側(客)の立場に立って作らねばならない”ということだ。
こうした様々な訪問者の多くが、このコラムを読んで、「いっぺんどんな奴か見てこよう」とやって来るわけだが、元々、自己PR活動と思って始めたコラム連載が、思いがけない“友だちの輪”を作ることになり、七転八倒しながら原稿を書き上げる毎週の苦労も報われる気がする。
もちろん、このコラムを読むすべての人が好意や賛意を示してくださっているわけではない。ある組合幹部は、油業報知新聞社に「一生懸命やっている人たちをおちょくっている」と抗議の電話をしてこられたそうだ。「あのコラムやめさせないなら、油業報知新聞の不買運動をするぞ」と言ったとか。とうとう連載ストップかと思いきや、「とんでもない。和田さん、ますますがんばって書いてください」だって。ホントにいいの?
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