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和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.950『靴下を引っ張る』

エンタメ・スポーツ

2023-05-22

 G7広島サミットで来日した英国・スナク首相が,18日夜,岸田首相と日本料理店で会談した際,広島カープのロゴ入りの真っ赤な靴下を披露,SNSで話題となった。企画・販売した「靴下屋」では,即品切れ状態となり,嬉しい悲鳴をあげているとのこと。世界が核戦争の危機に瀕している中,何ともお気楽なニュースだなとは思うが,初来日のスナク首相,“つかみ”はまずまずだったようだ。

 それにしても,英国といえばサッカーかラグビーかクリケットというイメージで,野球なんて…と思っていたが,近年では,ロンドンでMLBの公式戦が開催されるなど,野球の露出度も高まりつつあり,遂に昨年行われたWBC予選の決勝戦で,スペインに対し延長10回にサヨナラ勝ちを収め,初めて本戦進出を決めた。注目選手を一人挙げると,若干20歳のハリー・フォード捕手。2021年マリナーズのドラ1。予選3試合で3本塁打,8打点と大暴れ。本選でも2本塁打を放ち,近い将来スタープレイヤーの仲間入りを果たすと見られている。

 さて,日本の“レッドソックス”広島カープだが,新監督 新井貴浩のもと,22日現在リーグ4位,首位タイガースとのゲーム差は5.5。評論家の6割近くが最下位とした戦前の下馬評を覆し,まずまずの位置に付けている。シーズンはまだ序盤だが,ここまでのMVPを一人選ぶとしたら,4勝負けなし,防御率トップの床田寛樹だろう。キャリアハイは昨年の8勝という3番手,4番手投手が,パームボールに磨きをかけ覚醒した。ところがその床田,左ひじの炎症で大事をとって登録抹消になったとのこと。好事魔多し。

 一方,我がジャイアンツはようやく鯉の尾ならぬ靴下を捉まえて0.5ゲーム差で3位に浮上。(同) 両リーグ最多の本塁打数を誇りながらも,防御率で12球団ワーストを誇る“マシンガンリリーフ陣”が幾度も試合をぶち壊し,一時は,宿敵ドラゴンズと熾烈な最下位争いを繰り広げていたが,最近ようやく投打がかみ合うようになってきた。

 ところで,今年からジャイアンツは名門球団を気取って,背番号の上の選手名を取っ払ったのだが,今シーズン,とりわけピッチャーは60番台,90番台の“だれ?”という顔ぶれが次々と登板している。原監督もようやく私の進言を受け入れて,若い選手をどんどん起用するようになってきた。(笑) スポーツに限らず,新陳代謝を図らない組織は必ず衰退する。若者の経験不足を危ぶむより,その活力に賭けることが,次への成長,次への発展に繋がる─。

 そんなことは,だれもがわかっていることなのだが,実行するのは容易でない。「東京商工リサーチ」によると,2022年の日本企業の社長の平均年齢は,調査を開始した2009年以降で最高の63歳。世界平均の53歳と比較して,飛び抜けて高い。また,直近決算で社長が70代以上の企業の赤字率は26㌫で,年齢が高齢化するほど業績が悪化する傾向にあるという。レポートでは『高齢の社長は,過去の成功体験に捉われやすく,設備投資や経営改善に消極的な傾向がある』と分析している。

 閑話休題。平和運動のメッカともいえる広島市でのサミットで話し合われる最大の議題が,ゼレンスキー大統領も参加しての「ウクライナ軍事支援策」とは何とも皮肉な話だ。核兵器をなくすどころか“ならず者国家”に対抗するための“抑止力”として保持すべきと考える人たちは少なくない。最近韓国で行われた世論調査では,「韓国独自に核開発すべきか」との問いに64㌫が「賛成」と答えるという衝撃的な結果が。また,共同通信が全国の被爆者に実施したアンケートに回答した521人のうち67㌫が,今回のサミットで「核なき世界」の実現に向けた具体的成果が,「あるとは思わない」と答えている。あまりにも厳しい現実の前には“核なき平和な世界”という理想はもはや幻想を通り越し,妄想に近いのかもしれない。

 英語の比ゆ表現に“pull one’s socks up”(靴下を引っ張り上げろ!)というものがある。半ズボンの小学生が,足首あたりまでずり落ちた靴下を引っぱり上げてシャキッとするイメージから,「気を引き締めて,もっとがんばれ!」という意味の激励の表現なのだが,世界の指導者たちには,平和に向けていま一度「靴下を引っ張り上げて」もらいたいというのが諸国民の切なる願いであろう。 

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