セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.951『補助金なくなります』

政治・経済

2023-05-29

『経済産業省は26日,物価高対策として,昨年1月から始めた現行のガソリン補助金を今年9月末で一旦終了すると発表した。6月以降,補助率を2週間ごとに9割,8割と段階的に1割ずつ引き下げ,10月1日からは補助がなくなる。ただ,今後,原油価格が急騰した場合には,補助の継続なども含め,柔軟に対応するとしている』─5月26日付「産経新聞」。

 正式名称は「燃料油価格激変緩和対策事業」。「長引く原油価格の高騰が経済回復の足かせとなり,国民生活や経済活動への悪影響を防ぐことを目的として」(資源エネ庁HP) 2022年1月27日から発動された。当初はコロナ禍の救済策の一環で,170円/㍑を超えたら最大5円/㍑を支給するという,あまり効き目のなさそうなものだったが,この時,すでにロシア軍は10万を越える兵力をウクライナ国境に展開していた。1ヶ月後にまさかの軍事侵攻が勃発,原油価格は急騰,上限額も25円,35円と大幅に増加せざるを得なくなった。これまでに投入された予算は6兆円超。ウクライナ戦争はいまだ続いており,やめるにやめられない状況に陥ってしまったが,コロナによる行動制限が撤廃され,原油価格が安定しているいまのうちにとりあえず終了させようということなのだろう。

 あまり庶民から感謝の声が聞かれないものの,この補助金で2022年は毎月30円から40円近い価格抑制がなされた。特に後半は補助金がなければ200円台で推移したとの試算だ。今年に入って上限が切り下げられたが,直近の5月29日から始まる週も約10円の抑制効果があるとされている。まあ,お上の計算なので7掛けぐらいの値と見ておいたほうがいいが…。

 原油価格と為替相場が現行水準で推移すると仮定すれば,来月から仕入れ価格は2週間毎に約1円ずつ上がってゆくことになるのだが,あくまで仮定。今後,ウクライナ軍の大規模な反転攻勢が予想されており,戦闘が激化すれば,原油価格が大きく上がるのは必至と見られている。そうなれば,急遽補助金延長ということもあり得るし,今度こそ「トリガー条項」発動となるかも…いや,それはないか。子育て支援,GX促進,防衛力強化と,どれも巨額予算を必要とする政策を抱える現政権に,減税を行う余裕はないだろうから。

 やはり,ウクライナ戦争が終わらないことには,ガソリンの価格はなかなか下がらないだろう。いまガソリン補助金を打ち切ると,物流コストや生産コストは一段と上昇し,国内のほとんどすべてのモノがさらに値上がりするのは必定だ。すでに来月から一般家庭向けの電気代が3割上がるほか,3300の食品が値上がりする。日清カップヌードル レギュラーサイズが231円から251円に,ハウスバーモントカレー中辛230㌘が349円から394円に,永谷園お茶漬け海苔8袋入りが270円から302円に…という具合で,個々に見れば僅かな額と思えるが,毎日の生活の中で消費するありとあらゆるものが値上がりすれば,結構な出費となる。賃金が幾らか上がっても追いつかないというのが一般庶民の実情で,ますます節約・倹約モードにシフトしてゆくことになろう。

 ガソリンについて言えば,石油元売りの価格改定が毎週木曜日で,商社もこれに準ずるかたちとなっているから,大半のGSがしばらくは毎週水曜日に満タンにすることに。だが,こちらの皮算用通りにタンク残量が減ってくれればいいのだが,これからますます売れなくなるだろう。売れない日々が続くと,妄動に走る業者も現れる。先日も,茨城県土浦市で,GS運営会社5社が公取に不当廉売の警告を受けたが,約1ヶ月間140円台の“デスマッチ”を繰り広げたらしい。お疲れさまでした。結局,ガソリンは価格で選ばれるわけだから,この先もこういうことがあちこちで起こるんだろうな。

コラム一覧へ戻る

ページトップへ