セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.117『ケータイは役に立つのか』

社会・国際

2006-07-24

 内閣府の調査によると、2006年3月の時点で、日本の携帯電話世帯普及率は85.3%と、過去最高を更新した。いまや、携帯電話のない生活など考えられないという人も少なくない。昨今は、“携帯パソコン”と呼んだ方が良いほど、多彩な機能を搭載した携帯電話が続々登場している。そんな中、新日本石油は、SSでの代金決済が携帯電話でできる「スマートプラス」と「ビザタッチ」の二種類のサービスを今年11月から来年1月までに、全国約700の系列セルフ店に導入すると発表した。

 「スマートプラス」はUFJニコスが、「ビザタッチ」はVISAが提供する決済サービスで、要はクレジット払いを携帯電話を使ってするというだけのことなのだが、いわゆる「利便性」というのが向上するので、顧客の囲い込みやら、客単価の向上やらが見込めるだろうというわけだ。

 ところで、給油中に携帯電話が受発信すると、その際に出る弱電流が気化したガソリンに引火し、爆発する恐れがあるとして、スタンドでの携帯電話の使用は禁止されていたんじゃなかったっけ?米国石油設備協会によれば、「人類史上、携帯電話が火災の原因になった例はまだ発見されていない」とのことであり、私も“携帯電話引火説”は一種の都市伝説に過ぎないと考えているのだが、「絶対安全か」と問われれば、「用心に越したことはないので、給油中はケータイは使用しないで」と言わざるを得ない。ケータイの発する電磁波と利用者の静電気とがある特定の条件に置かれると火花を出すかもしれないし、ケータイそのものには問題がなくても、ジャラジャラとぶら下がっているストラップ類の中に火花を出すものがあるかもしれない。心配していたらきりがないが、給油をしようと計量機にケータイを向けてピッピッとやった途端に「ドカーン」では、シャレにならない。安全には万全を期していただきたいものだ。

 ケータイの普及でガソリンスタンドに広がった別のサービスに、メールマガジンやメールクーポンがある。とりわけ、店頭でのコミュニケーションの度合が低いセルフスタンドでは、再来店の勧誘やキャンペーンの告知などにメールを活用し、顧客の固定化に活用しようとしている。しかし、結局のところ、それらのメールの大半は、「何日から何日までにご来店の方は何円引き」というもので、スタンド業界にとっては市況をむしばむ“迷惑メール”である。

 「もうからん、もうからん」という嘆き節が日々強まる中で、わざわざ費用と手間をかけて、ガソリンを5円も10円も値引きしている経営者は、メールシステムという新しいおもちゃで遊んでいる子どものようなもので、あまり損得勘定のことなど考えていないのだろう。手法はインテリジェンスでも、その中身は低能級といわざるを得ない。

 ガソリンを給油して代金を払う─考えてみれば、ケータイを使わなくても、さほど時間や手間がかかる作業ではないはずだ。メール会員を集めてみても、値引き販売以外に魅力的な情報を提供できないようでは、かえって経営を圧迫するだけだ。「消費者ニーズに対応するため」とか何とか言って新しいアイテムを導入したものの、かえって設備コストや管理コストを増やすだけになってしまうようなら、それこそ店頭に「ケータイ使用禁止」の貼り紙をしておいた方が会社のためというものだ。

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