セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.139『来年はイノシシだ!』

オピニオン

2006-12-25

 来年は亥年。イノシシである。新年早々、干支に引っ掛けて「今年は目標に向かって『猪突猛進』してまいりましょう!」なんてバカな挨拶を人前でしでかさないよう気をつけたいものだ。『猪突猛進』とは「周囲の人のことや状況を考えずに、一つのことに向かって猛烈な勢いで突き進むこと」。つまり、アホのことですな。『後先見ずの猪武者』ということわざも同様である。まあ、「周囲の人のことや状況を考えずに」、やたら突進する無分別な輩が多い業界なので、案外ピッタリのことわざかもしれないが…。

 ほかに、イノシシにまつわることわざはないかと調べてみたら、『山よりも大きなイノシシは出ぬ』というのがあった。そのイノシシが住んでいる山より大きなイノシシが出たなどというのは、いくら何でも話がオーバー過ぎるということで、入れ物より大きな中味などはあり得ないのだから、大げさに言うのもいい加減にしろという戒めである。巨費を投じて大型セルフ店を建造し、あたかもその地域の顧客を根こそぎ我がものにできるかの如く豪語している経営者の方に送りたい言葉である。また、“こうすれば売れる!こうやれば儲かる!”と力説しているコンサルタント諸氏にも教えてあげたい。“ガソリンスタンド業界という「山」に、そんな大きなイノシシはいませんよ”と─。

 良い思いをした以上、困ることが起きるのも当然という意味の『ししを食った報い』という格言は、原油高で過去最高利益をあげ大喜びしたのも束の間、消費者の省エネ対策を加速させたうえに家庭用暖房の石油離れも招き、おまけに暖冬にまで見舞われて、減販の吹雪に凍えている元売各社のみなさんに捧げたい。来年の各社の新年会のメインディッシュは、ぼたん鍋で決まりですね。

 事が起こってからあわてて対策を講じることを『猪見て矢を引く』と言う。自分の店の近くに大型店や安売店が出来てから、セルフ化の準備に取り掛かっても遅い。少子高齢化というイノシシが猛スピードで突進してくるのに、何の対策も取らないのもまた然り。ローコスト経営への転換は待ったなしの課題であり、中小零細のガソリンスタンド業者は、「セルフか、撤退か」の二者択一を迫られていると言っても過言ではない。

 しかし、変化の必要性は認めつつも、それを実行に移すことにはためらいを感じている経営者は少なくない。もちろん、冒頭で紹介したとおり、『猪突猛進』のような計画性のない行動は慎むべきだが、進むべき道がはっきりしたならば、イノシシ並みのスピードとパワーで困難や障害を打ち破って進んでゆかねばなるまい。いつまでもぐずぐずしている経営者は、やがて“別の生き物”になってしまう恐れがある。『猪も七代目には豕(いのこ)になる』ということわざどおり、家畜となってしまうのだ。ブタは、食肉用として、人間がイノシシを改良して家畜とした動物である。この比ゆで何を訴えたいかはもはや説明不要であろう。経営者のみなさん、あなたは厚い皮膚と大きな牙を持った野生のイノシシとして生きてゆきますか。それとも、だれかさんの飼育下に置かれたブタとして生きてゆきますか。

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