セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.562『ユニフォームを着て』

GS業界・セルフシステム

2015-06-15

 先日,私の町内の自治副会長を務めている方が,路地に見慣れない生き物の死骸があるとの通報を受け保健所に連絡した。イヌでもネコでもタヌキでもないその生き物の正体はハクビシンというジャコウネコ科の外来動物であった。ハクビシンといえば,2003年に中国とその近隣国で750人超の死者を出した,あのSARS(重症急性呼吸器症候群)の宿主と目された動物である。その後の調査で,SARSはキガシラコウモリからのものであることが判明したそうだが,現場は一時騒然としたらしい。一方,いま韓国で150人以上の感染者と10人の死者(6月12日現在)を出しているMERS(中東呼吸器症候群)はヒトコブラクダが保菌動物だとのことだ。さすがにヒトコブラクダに町内で出くわすことはないだろうけれど,とにかく動物はむやみに触らないに限る。

 ところで,いまや緊急事態のただ中にある韓国パク・クネ政権の対策会議において,大統領をはじめ閣僚全員が,黄色の防災服に身を固めているのを見て“似合わないなぁ”と感じたのは私だけだろうか。日本でも,激甚災害が起こると,首相も大臣も皆防災服姿で国民の前に現れるのだが,あれはやはり“私たちは救援・復旧作業に携わっている現地の人たちと心を一つにしていますよ”という意思を示すためのものなのだろう。しかし,実際に作業活動に参加するはずもない偉い方たちが,着慣れていないうえに,汚れ一つない防災服を着用しているのを見させられると,むしろあざとさの方が勝ってしまうように思えるのだ。

 石油元売の支店などでも,支店長以下全員がGSのユニフォームを羽織って仕事をしている光景を目にすることがある。やはりその目的は,特約店との一体感を強調するためなのだろう。しかし,これまた似合わないんだな。どうしても“着慣れてなさ感”が漂ってきてしまうのだ。それでも,事務所で着ているだけならまだいいが,そのままGSの視察などに来られると,違和感をとおり超して目障りにすら思える。同じジャンパーを着ていれば,お客さまの目には皆○□石油の従業員に写る。にもかかわらず,腕を組んでセールスルームに突っ立っているから甚だ迷惑だ。そういう時ぐらい,普段,ドライブウェイコンテストでエラそうに審査しているのだから,模範的な接客を一発披露して“さすが元売”と言わしめ,現場の士気を鼓舞せよと言いたい。

 とはいえ,最近では,元売の社員がGSを訪れることはめっきり少なくなったらしい。ひとむかし前は,忙しいスタッフに代わって,キャンペーン商品を陳列したり,のぼりを設置したりして感謝されていた元売の営業マンがいたものだが,いまや毎週の仕入れ価格の通知がFAXで送られてくるだけという系列GSが少なくないようだ。しかし,それも止むを得まい。もう時代が違う。元売とGSは,いまでは卸しと小売というドライな関係へと変質しつつあり,それを歓迎するGSも増えてきていると聞く。ユニフォームを着てご機嫌伺いに来なくても,電話一本で価格を調整さえしてくれればそれで良いと。

 それに,収益減と人材難で,多くのGSはますます疲弊している。そんな現状を元売社員が直に見れば,そこはやはり人間だから,“大変だな,何とかしてあげたいな”と思う社員もいるだろう。しかし,そんな情けをかけていたら元売社員は務まらない。「ブランド料完全回収」,「事後調整ゼロ貫徹」を目指すのであれば,下手にGS現場に出向いて,「特約店同情支援症候群」に感染するより,支店オフィスでじっとしていたほうが安全だと思う。

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