セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.563『恋人は欲しくない!?』

オピニオン

2015-06-22

 『「今,恋人が欲しいですか?」の問いに若者の約4割がNO─。結婚適齢期の20~30代を対象にした内閣府の意識調査で,未婚で恋人のいない男女の37.6%が「恋人は欲しくない」と答えたことが,22日に閣議決定された少子化社会対策白書に盛り込まれた。4年前の同種調査より上昇傾向がみられ,男女ともに“草食化”“絶食化”をうかがわせる結果となった』─6月22日付「毎日新聞」web版

 「恋人が欲しくない」と答えた人の理由は,多い順に「恋愛が面倒」,「自分の趣味に力を入れたい」,「仕事や勉強に力を入れたい」,「恋愛に興味がない」とのことだそうだ。しかし,この調査はあくまで「恋人のいない」未婚男女を対象とした調査だ。「欲しくない」との回答が何となく強がりに聞こえなくもない。佐野元春の名曲『SOMEDAY』の歌詞に「いつかは誰でも愛の謎が解けて 独りきりじゃいられなくなる」という一節があるが,いまは“面倒くさい”“興味がない”などと格好付けていても,後になって“ぬくもり”や“ふれあい”を欲するようになるのが人間というものなのだ。

 なんだか,説教臭い出だしになってしまったが,要は日本の若者たちのあいだで,自然の情愛が薄れつつあるということ。こんな社会状況で,人口増加など望むべくもない。経済的観点で見れば,新たにモノを買う人たちが増えてゆかない中で,社会保障のコストが右肩上がりで上昇し続けるという構図となり,国力の衰えは如何ともし難い。言うまでもなく,これは,我々GS業界にとっても深刻な問題である。このところ,GSの販売量は概ね前年割れが続いているが,それもそのはず。新しい客が少ししか生まれてこないのだから,いくら価格を下げても,景品をばらまいても増えるはずがない。こうなったら,自動車業界と石油業界が手を組んで,米国のように16歳で自動車免許が獲れるよう政府に働きかけるしかなさそうだ。

 しかし,実際のところ,日本で子ども一人を育て上げるのに要するコストは約3千万円と言われている。「来年,子どもが産まれるんで,もうちょっと給料のいい仕事に替わりたいんです。すみません」との言葉を残して若い社員が去ってゆくのを,為す術なく見送った経験を持つGS経営者は少なくないだろう。やはり,交際し,結婚し,子育てをするともなると,カネがかかる。彼らが安心して家庭を持てるような,希望のある業界にすることが肝要なのだが,現実はキビシイ。ところで,出生率の高い業種ベストテンと低い業種ワーストテンなんて統計ないのかな。石油元売がベストテンに入っていて,GS業界がワーストテンに入っていたら笑える,じゃなかった,怒れるね。

 一方,比ゆ的な意味での恋人や配偶者を持つのが「面倒臭い」と考える人がGS業界では増えている。いわゆるPBスタンド。私もその一人だ。以前は元売というパートナーと夢を語り合ったり,子ども(店舗)をもうけたりした時期もあったが,17年前に“破局”し,いまでは,“友だち以上,恋人未満”の複数の仕入先ときれいなお付き合いをしながら“独身生活”を送っている。しかも,セルフスタンドで,100㌫現金客。特定の客との付き合いもまったくない。強がりでもなんでもなく,ちっとも寂しくないし,気楽で良い。なお,実生活の方は,28年間一人の女性(妻とも言う)と一緒に暮らしている。彼女がいないとたちまち生命維持に支障をきたすので,離れないようにしている。たとえ彼女から,「面倒臭い」と言われようとも…。

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