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和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.424『セブン-イレブン四国上陸』

政治・経済

2012-09-10

 今月9日,セブン-イレブン・ジャパンは,2013年春をめどに四国に初進出すると発表した。四国4県で15年度末までに250店,18年度末には520店を展開する計画で,弁当工場や配送センターなどの建設に着手する。四国にはすでに「ローソン」や「ファミリーマート」など,1千店以上のコンビニがあるが,業界最大手の満を持しての進出により,“コンビニ戦争”が激化することは必至と見られる。

 すでに,香川県と徳島県で「サンクス」約120店を展開している運営会社が,来年1月にサークルKサンクスとの契約が満了するのを機に,「セブン-イレブン」への鞍替えを希望しているとのことで,サークルKは運営会社と目下係争中である。サークルKは,2010年にも東京・千葉エリアで「サンクス」約130店舗の運営会社が「ローソン」への“マーク替え”するのを阻止せんとして裁判所に提訴したが,運営会社側が15億円を払うことで和解し,今年5月に首都圏で130店を失うことになった。昨夏,富山県でも「サンクス」約70店が「ローソン」に獲られており,『草刈場になっている』。(9月9日付「日経新聞」)GS業界で言えば,一時期の東燃ゼネラル石油みたいなものか。(失礼)

 “どこそこがマーク替えをする”というニュースは我々の業界でも興奮を誘う話題の一つだが,国獲り合戦真っ最中のコンビニ業界のそれとは趣は大いに異なる。ついこのあいだ,エクソン-モービル大手「一光」が,エネオスへマーク替えするという超ど級のニュースがあったが,エクソンが「一光」を引きとめようと必死に働きかけた形跡はなく,肝心の一光自体,エネオス子会社となって事実上消滅してしまうという顛末だったので,外野席の我々はガッカリしてしまった。

 この一事を見ても,我々の業界がかつてのような活力をすっかり失っていることがわかる。元売がそれぞれの地域でシェア争いを展開し,その尖兵として代理・特約店が凌ぎを削ったあの時代。GS経営者たちが“俺たちが元売を育ててやっているんだ”という一種の矜持の様なものを抱いていたあの時代。元売も代理・特約店の新規出店や販促キャンペーンに“実弾”を調達して支援していたあの時代は,いまや遠い過去のものとなった。それも仕方のないことであろう。最盛期と比べ4割も減少し,いまだ減り続けている業界と,今年度過去最高の出店数となり,この先もまだ“産めよ,殖やせよ”と競い合っている業界とでは,パワーもパッションも全然違っていて当然だ。

 それにしても,これまでセブン-イレブンが四国に1店もなかったとは知らなかった。同社は一定エリア内に店舗ごとに商圏を隣接させながら集中出店し店舗網を広げていく,「ドミナント戦略」を取っているため,創業39年のいまも未出店地域が残っているのだ。ちなみに,いまだセブン-イレブンが出店していない県は,青森,鳥取,沖縄で,秋田と島根はまだ10店舗に満たない。(2012年8月末現在) コンビニ戦争は,都市部から地方へと舞台を移し,まだまだ熾烈さを増してゆくのだろう。

 しかし,コンビニ業界は闇雲に拡大路線を突っ走っているのではない。「セブン-イレブン」四国進出とセットで,「イトーヨーカ堂」が15年度までに,従業員のパート比率を9割に高め,約8,600人いる正社員を半分にして,約100億円の人件費を削減するとの計画が報じられている。GS業界とは比べ物にならないほどドラスチックだ。ちなみに「ヨーカ堂」では,すでに「セブン-イレブン」のオーナーへの転向に約200人が応じたらしい。石油元売も,ゴロゴロしている社員を,社有GSのオーナーに転向させてはどうだろうか。まあ,そんなことをすれば大半の店が潰れちゃうかもしれないが…。

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