セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.111『ティッシュペーパー』

政治・経済

2006-06-12

 最近は、めっきり少なくなったとはいえ、ガソリンスタンドの“物くれイベント”といえば、景品は「ティッシュペーパー5箱」と相場が決まっている。「一万円プリカをお買い上げの方に5箱!2万円プリカの方には10箱!!」とか、「車検ご予約の方に5箱!ご成約の方にはさらに5箱!!」なんて調子である。

 しかし、こんなにも気前良くティッシュペーパーをくれる業種ってほかにあるのだろうか、と考えてみたが思い当たらない。大もうけしている銀行や消費者金融がくれるのは、ティッシュはティッシュでもポケットティッシュである。客から見ると、「何だかんだと言ってもガソリンスタンドってもうかってるのね~」と思われているに違いない。

 そのティッシュペーパーも、来月あたりから値上がりするという。ティッシュペーパーの国内シェアの6割を占める製紙大手3社は、原油高による燃料代増加のために25~30%の値上げをすることで足並みをそろえるようだ。ティッシュペーパー5箱パックで約50円の価格転嫁になるとの事。一万円プリカで130円のレギュラーガソリンを給油すると約77リットル。これに対して、ティッシュ値上げ分のコスト負担は1㍑あたり0.65円となる。これは馬鹿になりませんぞ。

 「原油高騰即値上げ」のガソリンとは違い、多くの日用品の値上げはこれからだと言われている。ティッシュやトイレットペーパーだけでなく、コピー用紙やPOS伝票も値上がりするとか。また、ごみを処分する際のポリ袋、窓拭き用タオルを洗う際の洗剤、会員カードなどのプラスチック素材品なども、すべてこれから値上がりしそうだ。

 大幅値上げの後遺症で販売不振に陥っているガソリンスタンド業界だが、焦燥感に駆られて値引き販売や景品バラマキをして体力をすり減らしているところへ、日用品や消耗品の値上げコストが追い討ちをかけるとなると、ますます危機的状況に陥ることになる。

 スタンド業界は、この値上げを機に、かねてから貧血気味の収益体質を少しでも改善しようと利益転嫁を試みても良かったにもかかわらず、生来の貧乏性から、かえってマージンを削って売っている有様だ。もちろん、減販は見過ごす事のできない問題だが、これだけ値上がりしたらちょっとやそっとの値引きでは客の財布のひもは緩みそうにない。ならば開き直って、どうせ売れないんだったら、いままで20㍑売らなければ得られなかった利益を、半分の10㍑売れば得られるように改善し、そのせめてものお詫びにティッシュ1箱くらいならサービスしても良いとも思うのだが…。

 でも、やっぱり無理だろうな。所詮この業界はボリューム至上主義がまかり通っている。セルフ時代になれば、スタンド業界ももう少し利口になるのではと期待したが、むしろボリューム至上主義はますますドラスチックになっている。ガソリンを値下げしたうえに、値上がりしたティッシュまで付けて“ご奉仕”して、客と元売と製紙会社を喜ばせているのが、悲しき我が業界の姿なのだ。いくらティッシュを大量に仕入れたって、これじゃあ鼻血も出ませんがな。

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