セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.123『ディーゼル復権』

GS業界・セルフシステム

2006-09-04

 セルフスタンドでは、客が自分で油種を選択して給油するのだが、よく聞く笑い話は、軽自動車に乗ったおばちゃんに、「これは“軽”自動車だから、“軽”油を入れればいいんでしょ?」と尋ねられたというもの。セルフスタンドのスタッフの5人に1人ぐらいは経験があるのではなかろうか。

 国内の新車総販売台数は4月から4ヶ月連続で前年同月実績を割り込んでいるが、軽自動車だけで見てみると今年に入ってずっと同実績を上回っている。好調の理由は、言うまでもなくガソリン価格の急騰だ。低燃費の軽自動車に乗り換える人はまだまだ増えるだろう。

 冒頭の「軽自動車だから軽油」と勘違いする客の大半は、自動車の知識に疎い中年以上の女性なのだが、最近、うちのスタンドに来たおばちゃんは、軽自動車にはガソリンを入れなければいけないことを諭されたあと、まだ納得が行かない顔をして「だって、自動車会社のセールスマンは、軽自動車は燃料代が格段に安くなるって言ってたから、てっきりこの安い油(軽油)でいいと思ったのに…」とぼやいていた。

 こんな具合だから、自動車メーカーも、給油口にはっきり『ガソリン』とステッカーでも貼っておいてほしい。自動車業界や石油業界の人間には、軽自動車にガソリンを入れるのは当たり前のことに思えるだろうが、それはあくまで業界内での“常識”でしかない。逆に、軽自動車のおばちゃんに「じゃあ、軽油の“軽”って、何なの?」と尋ねられたら、あなた、ちゃんと説明できますか?

 軽油の名は、重油に対応して付けられたものである。つまり、重油よりもベトベト度が軽い油だから「軽油」という、非常に安直な思考で付けられた名称なのだ。どうせ役人が付けた名称だろう。しかし、これだけ軽自動車が普及し、なおかつセルフスタンドが普及してきた昨今では、このような紛らわしい名称は誤給油を誘発するだけだ。じゃあ何て呼ぶのかって?「ディーゼル」に決まってるでしょうが。

 私の店には、ちょくちょく外国人の客が来るのだが、彼らから「スミマセン“ディーゼル”ハドレデスカ?」と尋ねられることがある。そうなのだ。軽油をディーゼルと呼ぶようにすれば、万国共通、誤給油もナシ。もちろん、ディーゼルとはエンジンの名称で、油の名称ではないが、そんなことはどうでもよろしい。役人や業界人ではなく、おばちゃんたちに識別できれば良いのだ。

 ところで、ディーゼルエンジンといえば、黒煙や窒素酸化物を吐き出すとして、日本では締め出されつつあったが、本来は、燃費効率が良く、地球温暖化の元になる二酸化炭素の排出量も少ないということで、ヨーロッパでは環境対策用エンジンとして普及している。

 先月、ダイムラー・クライスラー日本は、メルセデス・ベンツEクラスに低燃費のディーゼル車「CDIアバンギャルド」を追加し、全国で発売を開始した。V型6気筒エンジンで、排ガス浄化装置を搭載、燃料の噴射技術にも改良を加え、同クラスのガソリン車よりも燃費効率を3割高めたとのこと。

 パワーがありながら、燃費効率が良く、環境にもやさしいというディーゼル車が今後日本で復権するとなると、軽自動車やハイブリッド車の普及と相まって、日本におけるガソリン販売量の減退にますます拍車がかかりそうだ。そのうち、小型ディーゼルエンジンを搭載した「ハイブリッド軽自動車」が登場する可能性もある。少なくとも、電気自動車やメタノール車よりは実現性が高いと思うのだが、そんな車が走り出したら、1キロ㍍当り何円ぐらいのコストで済むのかしらん。トホホ…。

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