セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.159『プリペイドカードのはなし』

GS業界・セルフシステム

2007-05-28

 ご存知の通り、私の店では、プリペイドカードによる代金決済方式を採用している。ローコスト経営には、プリカ方式のセルフスタンドが最適であるということは、このコラムの中で何度となく述べてきた。まあ、このコラムの主な目的はそこにあるわけだから、当然と言えば当然の事なのだが─。

 ところで、先日、お客様からこんな電話があった。「すみません、うちの犬が一万円のプリペイドカードを噛んでしまって、使えなくなってしまったんです。何とか返金していただけないでしょうか」─。

 いいですよ、と答えると、いまからすぐに持ってきますとの事。私は、ちょっと傷が付いたぐらいのことで、使えなくはないだろうと思っていたのだが、数分後にやって来た客から受け取ったプリカは、ぐちゃぐちゃになった無残な代物であった。

 「本当にすみません、本来はこちらの不注意なのだから、返金してもらえる筋合いのものではないんだけれども」と洋菓子を持って頭を下げられたのには恐縮してしまった。これぐらい常識をわきまえておられるお客様であれば、喜んで返金させていただくというものだ。一万円をお返しすると、すぐその場で一万円プリカを買ってゆかれた。

 プリペイドカードは、ペットボトルなどに使われているPET(ポリエチレンテレフタレート)という素材に、酸化鉄などの磁気素材を塗布したもので、耐久性に優れている。枚数にもよるが、1枚35~40円程度かかる。ランニングコストを下げるために、紙製のプリカが作れないか試みられたこともあったが、耐久性に乏しく難しいようだ。その代わり、現在では使用済みプリカを再エンコードして利用することが可能となっており、コストは格段に低くなっている。

 基本的には、再利用するプリカは、一回目の利用で全額使い切ってしまったものに限っている。つまり、三千円プリカを買い、三千円分の給油をした場合のプリカである。これらのプリカはパンチ穴を開けることなく読取機に回収され、再利用されるというわけだ。

 私の会社は、このプリカシステム(テクナシステム)の販売も行なっており、納入先のセルフスタンドから定期的に送られてくる使用済みプリカを再生させる業務も行なっているのだが、エンコード自体は特殊な機械にプリカを通すだけなので労力はかからない。大変なのは、その前に行なうプリカをクリーニングする作業だ。使用済みプリカには、人間の皮脂や細かいホコリなどが付着しており、そのまま再利用すると、カードリーダーの損耗を早め、書き込みエラーなどのトラブルの頻度が高まる。楽をしようといろいろな方法を試みてみたが、結局、一番きれいにできるのは、1枚1枚手作業で磨く方法である。工賃は7~10円。手間がかかるが、大切な工程である。磨き方は…企業秘密(笑)。

 一回目の利用で使い切ったものに限らず、すべての使用済みプリカにパンチ穴を開けないようにすれば、さらにカードコストを下げれるではないかと言う人もいるが、そんなことをすると、前回自分が給油したことなど忘れて(あるいは、知っていながらも)、「おい、この五千円プリカ、穴が開いてないのに千円分しか給油できねぇぞ」と文句を言ってくる客が、必ず現われる。コストをケチり過ぎるとロクなことはない。

 さて、プリカが最も嫌うのは、磁力である。マグネット鋲で冷蔵庫などに留めたりされたら、磁性層にエンコードされたデータが破壊されてしまうので、奥さん気をつけてくださいね。テレビやパソコンなどにも近づけないこと。また、携帯電話などと一緒にポケットに入れていたところに着信があったりすると、やはりダメになる危険性がある。そしてもう一つ、プリカを決して犬にくわえさせないでほしい…。

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