セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.165『レゴ』

オピニオン

2007-07-10

 日本経済の牽引車である自動車産業─トヨタをはじめ、日本の自動車メーカーは、世界中に生産拠点を設け、熾烈なシェア争いを繰り広げている。世界最高水準の性能を誇る日本の自動車を海外で作るためには、現地の従業員に対する教育・訓練が不可欠だが、この間、NHKの番組を見ていたら、トヨタが海外での従業員研修に、「レゴ」を使用しているのを見て、面白いなと思った。

 デンマーク生まれのブロック玩具「レゴ」は、日本でも子どもたちに親しまれているおもちゃの一つである。この「レゴ」を使用して、短時間に、同じ形の自動車を何台作れるかという訓練を行なうのである。同じ形の部品を仕分けしておいたり、組み立てる順番に並べておくなら、速く、たくさん作ることができる─ヘンリー・フォードが編み出した大量生産方式の根本理論が、色とりどりの「レゴ」を用いて教えられているのだ。

 先日、子どもを「トイザらス」に連れて行った時、「レゴ」の製品カタログを眺めていたのだが、最近の「レゴ」はますますプラモデル化の傾向に走っている。本来、様々な幾何学形のブロックを、自由な発想で組み立ててゆくことが「レゴ」の魅力だと思うのだが、はじめから飛行機や消防車など、完成品が決まってしまっているような「レゴ」は、すぐに飽きられてしまうのではないだろうか。

 そんな「レゴ」シリーズだが、今月発売のキットの中に、「ガソリンスタンド」というのがあった。モダンなキャノピーに、ロゴマークの入ったサインポール(オリジナルブランドです)が付いている。計量機はロングホースの懸垂型で、クルーがノズルを握っている。(つまり、セルフスタンドではない)整備士らしきフィギアが立っているが、リフトはなく、洗車機が置かれている。ミニショップが併設されており、フィールドの脇には花壇も。そして、マーク入りのプライスサインも立っている。いまどきのガソリンスタンドのアイテムが盛り込まれているのだ。定価は5,775円。

 しかし、先にも述べたとおり、ただ決められた部品を組み立てるだけでは、「レゴ」本来の楽しみ方ではない。基本ブロックを用いて、オリジナルのガソリンスタンドを組み立ててみたらどうだろう。アイランドを幾つ、どのように配置したら良いか。洗車機やリフト室は必要か否か。価格看板はどこに置くか。マークはどうするか。スタンドを建てる前に、「レゴ」を使って検討してみてはどうだろう。

 「社長、こんなに計量機並べたら窮屈じゃないですか?」

 「そうだな、じゃあアイランドは三つにしておこうか」

 「このミニショップはいらないんじゃないですか?」

 「でもこれは元売の指定なんだよなぁ…」

 「そうなんですか…じゃあ、このサインポールを取っ払って、別のマークにしましょうか」

 「それもいいな。ワッハッハッー」

 大の大人が、「レゴ」を片手に、ああでもない、こうでもないと言いながら、スタンドのレイアウトを検討している風景を思い浮かべると、なかなか楽しい。そして、「レゴ」を組み立てて行くうちに、何が必要で、何が不要かということがおのずとわかってくるのではないだろうか。過大な設備投資をしてしまってから後悔する前に、「レゴ」を使って予行演習をしてみてはどうだろうか。

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