セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.189『すべらない軽油の話』

GS業界・セルフシステム

2008-01-07

 昨年12月29日の夜、フジテレビ系列の番組「人志松本のすべらない話~ザ・ゴールデン」を観ていたら、千原ジュニアが後輩の若手芸人何人かを連れて温泉旅行に行った時の話をしていた。レンタカーを借りて出かけたのだが、途中燃料が少なくなり立ち寄ったガソリンスタンドがセルフサービス。給油を終え、エンジンをスタートさせたが、すぐに止まってしまった。スタンドの店員に聞いたら、この車はディーゼル車だから軽油を入れないとダメとのこと。給油をした後輩芸人、ドリアンズ・堤に問いただすと、「そんなことレンタカー会社の人はなんも言うてへんかったから、ガソリン入れてもうた」。

 ドリアンズ・堤は電話でレンタカー会社に抗議すると、確かに軽油を入れてくださいと申し上げました、との返事。「いや、オレは聞いてぇへん!」「いえ、ご説明いたしました」の押し問答にしびれを切らしたジュニアが、給油口を開けてみると、そこには赤く大きな字で『軽油以外は絶対に入れないでください』と書かれているではないか。ジュニアは、「コラ堤!お前ここにこんなにでっかく書いたるやないかー!」─こうして文章にすると大して面白くもない話だが、「いや~、すべらんな~」。

 それにしても、セルフスタンドが増えるにつれて、この手の誤給油が年々増えているようである。とりわけ、昨年はガソリンの高騰で、それまでセルフ給油を敬遠していたドライバーも、安いガソリンを求めてやむなくセルフ給油をするようになったことで、誤給油がずいぶんあったようだ。「軽自動車だから軽油を入れたんだとさ」と“すべらない話”をしたつもりが、相手に「えっ?軽自動車は軽油を入れるんじゃないの?」と真顔で問い返されたら、これはもうだだすべりの話である。

 このコラムの連載を始めたころから、私はそういう冗談みたいなトラブルがこれからは増えると警告し、「軽油」などというまぎらわしい名称はやめて「ディーゼル油」とした方が良いとか、自動車メーカーと計量機メーカーとが話し合って、給油口の形とノズルの形を油種によって異なるものにしておけば(例えば、ガソリンは○、ディーゼルは□)誤給油はほぼ100㌫防げるなどと書いてきたのだが、今後、真剣に取り組むべき問題ではないだろうか。

 ディーゼル車といえば、黒くて臭い煙を吐き出す車というイメージだが、最新のディーゼル車は、フィルターや噴射技術の向上により、黒煙はほとんど目に見えなくなるまで低減されているうえ、有害成分も大幅に少なくなっている。本来、ディーゼルエンジンは発がん性のベンゼンや、温暖化の元である二酸化炭素の排出量が少ない環境対応エンジンであり、欧州では乗用車の半分がディーゼル車に取って代わる勢いなのだそうだ。

 京都議定書によれば、日本は今年からわずか5年間に、二酸化炭素の排出量を6㌫も削減しなければならない。この目標を達成するためには、電気自動車やメタノール車の普及を待つ前に、まずディーゼル車への転換を進めることが、有効な手立てとなるのではなかろうか。もし、政府が大号令をかけ、巷の車が次々とディーゼルエンジン搭載の軽自動車になったら、今度こそ本当に「軽自動車だから軽油」ということになる。そうなる前に、セルフスタンドは誤給油ゼロを目標に、ハード・ソフト両面で一層の対策を図るべきだ。

 ところで、あるセルフスタンドは、もともと軽油の販売量が少なかったのだが、一日の販売量がたった8㍑という日があった。その8㍑は、軽自動車が125円の軽油を千円分誤給油したものだったという。しかも、その客は外国人で、軽油の意味がよく分からなかったのだそうだ。これって「すべらない話」?

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