セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.198『マラソン・ランナー』

エンタメ・スポーツ

2008-03-10

 北京オリンピック代表最終選考会を兼ねた、名古屋国際女子マラソンが9日に開催された。マラソン初挑戦の21歳の新鋭選手が優勝、シドニーの金メダリスト・高橋尚子は27位に終わった。

 私はマラソンという競技に興味も関心もまったくないのだが、地元名古屋の、しかも近所の瑞穂競技場が発着点ということもあって、テレビ中継をしばらく見ていた。見慣れた街並みがテレビに映されるのはやはり面白い。「あ、あの店が映った。あそこのラーメンうまいんだよな~」とか、「もうじき○○さんの家が映るぞ。あそこの娘さん結婚したかな~」なんて、マラソンとは全然関係のない話題で盛り上がったりする。そして、やはり職業柄、沿道のガソリンスタンドに目を凝らしてしまう。特に価格看板に。

 テレビ中継の実況も、副音声の放送で、「ここのガソリンスタンドは安いですね~。139円ですよ!」なんてことを報道してくれれば、地元の視聴者にはリアルタイムの生活情報番組になるかもしれない。

 それはともかく、マラソンはしばしば人生行路になぞらえられる競技である。山あり谷あり、追い風の時もあれば向かい風の時もある。苦しくて走るのをやめようと思った時、沿道からの声援に励まされたり、給水ポイントで息を吹き返すということもあれば、順調に走っていたのに、靴が脱げたり足がつったりして、先頭グループから脱落することもある。

 今日のガソリンスタンドの経営もマラソンレースのようなものだ。実際のマラソンと違う点は、ゴールが見えないことである。はるかかなたを走っていたランナーが突然リタイアすることも珍しくない。逆に、ダントツの差をつけていたはずのライバルに追い抜かれることもあるかもしれない。しかし、一喜一憂せず、この冷たい向かい風と険しい上り坂の走路を、ゆっくりでもいいから走り続けることだ。先は長い。

 走り続けるために不可欠なのは体力であり、資金力や収益力や人材力などが豊かな会社ほど優位であることは言うまでもない。しかし、先にも書いたとおり、ガソリンスタンド経営は、長く厳しい長距離走だ。持てる体力を浪費しないためにも、コストを絞る努力を怠ってはならない。マラソン・ランナーに、贅肉を持つ者が一人もいないように、ガソリンスタンドも走り続けるためには、スリムな体型を保っていなければならない。そのためにも、セルフ化によるコスト削減は避けて通れない道であると考える。

 セルフ化しても、今日まではびこっている重装備のセルフスタンドでは、やはり走路を走り抜くことは難しい。それは、マラソン選手がせっかく絞り込んだ体に、幾重にも衣服を着こんだり、装飾品をジャラジャラと身に着けるのに似ている。スタート当初は、体力に任せて爆走するグラマーなランナーも、長時間走り続けるうちに、その豊満な胸やおしりが重たく感じられるようになるだろう。長い髪も、派手なイヤリングやサングラスもうっとうしくなってくるに違いない。水泳選手ともなると、試合前日には体毛さえそり落とすという。競争とは、かくも厳しいものなのだ。

 さて、実際のマラソンでは、栄冠を与えられるのは最初にテープを切った者のみだが、果てしない業界レースにおいては、完走する者すべてに栄冠が与えられる。では、一体どこまで走り抜けばゴールなのか。それはだれにもわからない。ゴールと思った地点には、別のランナーがいて、実は駅伝だったということになるかもしれない。いずれにせよ、自分が「精一杯走った。悔いはない」と言えるその日まで、走り続けてゆきたいものである。

コラム一覧へ戻る

ページトップへ