セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.203『そうは問屋が…』

GS業界・セルフシステム

2008-04-14

 8日の朝、毎日新聞の社会面の一角に「ガソリン供給を非系列店が要請─商社転売分」との見出しを見つけた。

 『ガソリン税の暫定税率失効による需要拡大で、非系列のスタンドの経営が危機に瀕している。元売りが出荷先を系列店に絞ったため、商社からの「業転玉」の転売が受けられなくなったのが原因だ。そのため、非系列の45社約250店舗でつくる中央石油販売事業協同組合(COC)は、ガソリンの安定供給を保証するよう求める要望書を近く経済産業省に提出する。同組合の理事長で、和歌山・大阪両府県で15店舗を展開する石橋石油の石橋幸四郎社長は、「元売り各社は販売量の多い都市部や中心市街地には多くの系列店を抱えるが、地方の郡部などは手薄。そこに店を出したのが私たちで、今回の元売りの対応は地方切捨てだ」と憤る』─。

 この件では、私のところにも名古屋のテレビ局から問い合わせがあった。“お宅はどうですか?”ということだったので、「おかげさまでウチはいまのところ何とか仕入れることができています」と答えたものの、この先どうなるかは不安である。というのも、今月末の暫定税率復活によって引き起こされるであろう全国的な仮需をにらんで、元売り各社は出荷を抑えているらしいのだ。月末が近づいてくると、あちこちで“出荷停止”のアナウンスがなされるかもしれない。あるいは、卸してはもらえても、どえらい高値を吹っかけられるかもしれない。

 系列店においても、日ごろから業転玉を浮気買いしていた店には、出荷数量が削られたり、配送日時が後回しにされたりするといった“制裁”がなされているという情報もある。まさに「そうは問屋が卸さない」状態なのだ。このことわざは、江戸時代の呉服屋業界に由来するという。当時、問屋はつくり人と呼ばれる職人に着物を作らせ、それを一手に集めて委託販売形式で小売業者に卸していた。新たに呉服屋を営もうとしても、問屋の許しがなければできなかったことから、このことわざが生まれたのだそうだ。昔もいまも、問屋は小売業者の生殺与奪権を握っているのである。

 そういえば、「水戸黄門」で、奉行や代官を動かし、領民たちを苦しめる商人は、大抵ナントカ問屋の「○□屋」だ。例えばこんな感じ─。

 代官:「領内の油屋たちが、思うように油を卸してもらえぬと騒いでおるが、いかがする?」

 問屋:「お代官様、どうせあと2週間もすれば、また油の値は上がるのでございます。領民たちは、油の買いだめに走るでありましょう。これぞ“千載一遇”の好事でございます。どの油屋も、こちらの言い値で油を買わざるを得ないでしょう。その時に高値で売りつけるのでございますよ。四の五の言う連中は、その際一気に潰してしまうのです」

 代官:「しかし、そのようなことが御公儀の耳に入ると厄介なことになるぞ」

 問屋:「ですからそこはお代官様に何卒お取り計らいいただいて…。これはそのためのお礼ということで…」

 代官:「フッフッフ…おぬしもワルよのぉ~」

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