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和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.214『ウルトラマン』

エンタメ・スポーツ

2008-06-30

 5歳になる甥がいま熱中しているのが「ウルトラマン」。この前、ウチに遊びに来たときに『ウルトラ怪獣大百科』なる分厚い本を見せてもらった。バルタン星人やレッドキングといった懐かしい怪獣たちから最近の怪獣までがほとんどすべて紹介されており、甥の“解説”を聞きながら、楽しく拝見させてもらった。

 初代「ウルトラマン」の第13話「オイルSOS」にはペスターという怪獣が登場する。巨大なヒトデが連結し直立したような奇怪な姿をしており、石油を主食とする怪獣で、中近東の油田やタンカーを次々に襲った。もしいまこいつが現われたら、原油価格は軽く300ドルくらいになりそうな話である。

 

 日本のガソリンスタンド業界にも傍若無人に暴れまわる怪獣たちがいる。思いつくままに命名・紹介すると─まず、安売怪獣「ゴンタラス」。とにかく採算なんて考えていない。自分の生息地で最安値を保たなければ気がすまない性質で、市況破壊光線を吐きまくる。この光線を浴びたガソリンスタンドは、次々と安売りに引き込まれ赤字に陥ってしまう。しかしゴンタラス自身も体力を消耗してしまうのだ。

 油外怪獣「オシウリゴン」。ガソリンの収益だけでは生きてゆけないため、油外商品の販売に意欲的なのだが、度を越した強引な販売方法で客に恐れられている。例えば、この時期だと、頼みもしないのに水抜き剤を注入し、「梅雨時なので入れておきました」と何食わぬ顔で精算時に請求するという凶暴な怪獣なのだ。オシウリゴンのおかげで、ガソリンスタンドは消費者からの信頼を失いつつある。

 量販怪獣「ジャイアントセルフ」。他のガソリンスタンドを圧倒する巨体。背中には幾つもの計量機が並んでおり、両腕には洗車機、尾には整備工場を備えている。おなかには大量の釣銭用の現金をため込んでいる。各種クレジットカードに対応するセンサーも備えており、地域最強の販売力を誇る。しかし、その巨体を維持するためには、普通のセルフの3倍4倍もの販売量を必要とする。近年の需要減退は、この巨獣にとっては深刻なダメージとなっているようだ。

 サービス怪獣「ソシナー」。ガソリンを売るために景品を配りまくる気前の良い怪獣。一時的に客を呼び込み巨大化するが、イベントが終わるともとの大きさにしぼんでしまうため、しょっちゅう景品を配らなければならない。だが、この怪獣もそろそろ限界を迎えつつあるようだ。ほかにも、メール会員やポイントカードなどを駆使する「ネビキラス」や、顧客満足は接客にあると説き、純真なスタンド経営者を不毛の研修トレーニングへといざなう「コンサル星人」などが暴れまわり、日本のガソリンスタンド業界は健全経営とは程遠い荒廃した状態に陥っているのだ。

 どうすれば怪獣たちをやっつけることができるか。甥に尋ねれば「おじさん、ウルトラマンを呼べばいいんだよ」と教えてくれるだろうが、この業界はそう簡単ではない。東海地方ではウルトラマンをCMキャラクターとしている某元売の100㌫子会社が、不当廉売で訴えられるという事態が起きているのだ。つまり、怪獣を倒すはずのウルトラマンが、逆に怪獣顔負けの破壊力で、市況をぶち壊しているのだから始末に負えない。もはや、この業界には正義の味方はいないようだ…。

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