セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.221『国際化』

GS業界・セルフシステム

2008-08-18

 今月11日付の日経新聞によれば、ブラジル国営石油会社ペトロブラスはエクソンモービルから、南米チリでガソリン事業を買収すると発表した。買収額は4億ドル。ペトロブラスが買収するのは230ヶ所を展開するガソリンスタンドのほか、空港での給油事業など。同社は本国のほか既にアルゼンチンやコロンビアにガソリンスタンド網を所有している。

 ペトロブラスといえば、昨年EMグループの石油精製会社・南西石油を買収したことは記憶に新しい。EMはつい先ごろ、米国内の自社スタンドの売却を発表しており、近い将来日本においても同様の動きを見せるものと予測されているが、もしかしたらその受け入れ先はペトロブラスかもしれないな~、そうなったらEM100㌫販社の人たちはポルトガル語を話せなきゃいけないのかな~などと思った次第である。

 トヨタに代表される製造業の県・愛知は、全国で最もブラジル人が居住している県でもある。ブラジル料理の店やカフェもちらほら見かける。豊田市に隣接する日進市にある私の店でも、ブラジル人の客をよく見かける。総じて気立てが良く、温和な方が多い。私のスタンドは、プリカを買って給油するだけという、いたって簡単なシステムなので、外国人の方でも簡単に給油できる。システムを簡単なものにするというのは、客の国際化にも有効なのである。

 豊橋市は、愛知県でも特にブラジル人が多く住んでいる都市である。その豊橋市で、3年ほど前に休眠中のスタンドをローコストセルフとして再オープンさせた際、私は『店内でプリペイドカードを買ってください』という案内を日本語と共にポルトガル語でも表示するよう提案した。案の定、ブラジル人の客が多く来店し、店は順調に売上を伸ばしている。

 ブラジル人に限らず、外国人の客は今後も年々増加することだろう。彼らのニーズは“安く、簡単に”給油できることに限る。わたしたちが、言葉もロクにわからない外国で暮らすことになった時、価格看板もないフルサービスのガソリンスタンドに行こうとするだろうか。どれだけぼったくられるわかったものじゃない。できることなら、世界共通の“数字”が掲げられていて、従業員となるべく接触しないで済むセルフスタンドで給油するのではないだろうか。

 かつてまだ日本にセルフスタンドがなかった頃、夫の長期の外国勤務が解け帰国した奥さんが、日本のガソリンスタンドへ行き、車を計量機の前に停めるや否や、自分でキャップをあけてノズルを持ち上げたら、目の前で目を丸くしている従業員が立っていたという笑い話を聞いたことがある。

 それから10年余の歳月が流れたが、日本のセルフスタンドは相変わらず「アテンダー」と称するスタッフがまとわり付き、あれこれ説明したり、隙あらばクレジットカードの申し込みや洗車やオイルの売込みをしてくる有様で、うっとうしいことこのうえない。私が外国人なら「イリマセーン!」と叫びたくなる。日本のセルフはいまだ国際化にはほど遠い。異邦人が安心して給油できるセルフスタンドは相対的に少ない。

 ところで、日本では小学校の英語教育導入がようやくスタートするが、いまや世界ではポルトガル語やスペイン語、つまり南米圏の言語を習得することが必須なのだとか。英語圏は縮小し、国際公用語はポルトガル語かスペイン語、もしかしたら中国語になるかもしれないと予測する言語学者もいる。冒頭で述べたペトロブラスの活発な動きが日本においても伸張するとすれば、ようやく英語で日常会話ができるまでになったころには、自分の上司はポルトガル語をしゃべる人に代わっていたりして…。そういえば、日本国内のEM給油所網を引き受けるのではないかと噂されるS社の会員カードは「オブリカード」(オブリガードはポルトガル語で“ありがとう”の意)なんだけど…うがち過ぎかな。(笑)

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