セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.223『ゲリラ豪雨』

社会・国際

2008-09-01

 先月29日に東海地方を襲った豪雨で、主に三河地方において大きな被害が出た。ピンポイント爆撃のように短時間に局地的大雨が降る「ゲリラ豪雨」による被害が、このところあちこちで生じている。特に都市部に多い。そのメカニズムは十分解明されていないが、都市部のヒートアイランド現象や高層ビルなどが大気に影響を与えているのではないかと言われている。また、都市部では地表がコンクリートやアスファルトなどで覆われているため、雨水が地中にしみ込まず、一気に河川に集中し、決壊や鉄砲水などが起きやすいとされている。

 ところで、先月26日に栃木県鹿沼市の東北自動車道の高架下で、集中豪雨による冠水により軽自動車が水没、運転手の女性が死亡するという痛ましい事故が起きたが、通報を受けた警察と消防は、別の水没事故と勘違いして出動しなかったという。

 警察によれば、通行人から「キグナスガソリンスタンドの橋の下に小型自動車が流されている」と110番があった。しかし、通報を受理した県警職員は、現場から約1キロ離れた別の高架下でも水没事故の通報を受理していたことに加え、その現場近くにもガソリンスタンドがあったことから、同一現場と判断してしまったのだという。

 わざわざ「キグナス」という比較的マイナーな(失礼)元売のマークまで知らせてくれたにもかかわらず現場を正確に特定できなかった警察の判断力の低さにあきれてしまう。警察や消防は、管轄管内のガソリンスタンドとコンビニの位置とそのマークぐらいはしっかり把握しておいてもらいたいものだ。

 ガソリンスタンドはどの地域においても目抜き通りにある施設なので、その地域の目印としての役割を担っているといって良い。しかし、道順を説明する時に、「この先のジョモの交差点を左折して、しばらく行ったコスモを過ぎた最初の信号を右折して、ゼネラルのスタンドの手前を…」なんて説明しても、一般の人はまずわからないだろう。エネオスとエクソンの違いもわからない人が多いのではないか。「出光」ですら「IDEMITSU」とされたらもうわからない。ガソリンスタンドのマークやロゴは、我々の想像以上に一般のドライバーには認知されていない。

 閑話休題。豪雨による冠水はガソリンスタンドにとっても脅威であることは言うまでもない。計量機が半分もつかってしまえば、モーターやポンプが故障してしまう。最近の計量機は、液晶パネルやら紙幣ビルバリなども内蔵されているから、ひとたび水没すると高価な機器類を取り替えなければならない。

 そこまでの水害を被ることは稀だとしても、ガソリンスタンドにとってもう一つの脅威となるのが、豪雨の際にしばしば発生する雷である。29日の深夜、降りしきる雨と共に落雷が続き、私の店も幾度も瞬時停電が発生した。そのたびに、水銀灯が消えて真っ暗になってしまい、再び明るくなるとまた停電。しかし、本当に怖いのは、異常電圧によってセルフコントローラーのCPUにバグが生じて、単価などの設定値が狂ってしまったり、販売データが消えてしまったり、もっとひどい場合には機能停止になってしまったりすることだ。現代のガソリンスタンド、特にセルフスタンドのシステムは、精密な電子機器によって構成されている。したがって湿度や異常電圧には滅法弱い。おかげで、その夜店番をしていたスタッフのYは、一睡もせずに瞬時停電が起こるたびにシステムのチェックをしていたとのこと。

 ところで、9月は久々にガソリン価格が値下がりする。例によって減販分を取り戻そうと必要以上の安売りを強行(狂行?)するスタンドが現われるだろう。セルフスタンドが群立する日進市にも、局地的豪雨が降りそうな気配である。

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