セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.263『落し物は何ですか?』

GS業界・セルフシステム

2009-06-29

 二週間ほど前の話だが、母と娘が連れ立って私の店に訪ねてきた。何でも、向かいのコンビニで買い物をしようと車を降りた隙に、飼い猫が飛び出し逃げてしまったのだと言う。もしスタンドで見かけたら、できれば保護してもらえませんかと写真入りのポスターを置いていった。見ると、宮崎駿のアニメ映画『魔女の宅急便』に出てくるジジそっくりの黒猫だった。雨宿りにやって来ないかなぁ、と気にかけていたがあいにく私の店では見かけなかった。果たして無事飼い主のもとに戻っただろうか。

 セルフスタンドでは時々忘れ物や落し物が見つかる。モニターで監視しているとはいえ、見逃すこともある。一番多いのは、やはり給油タンクのキャップ。とはいえ年に2~3個程度のことだ。精算機が給油終了後に「キャップを忘れないようにしてください」と忘れずに“声かけ”するからだ。これが結構効いていると思う。また、最近の車はキャップにひもが付いている。セルフスタンドが増えたため、こうしたアイテムが出てきたのだろうが、何でもっと前からこうしておかなかったのだろう。

 テクナシステムは、残高のあるプリカは挿入口から抜き取るまでピーピーとうるさく鳴り続けるのだが、それでも取り忘れて行ってしまう客が、月に1人か2人はいる。その場合は、プリカに給油した場所と日時、車種を記入して保管しておくのだが、あとで気付いて取りに来る客は稀だ。大方、どこかで紛失したと思ってあきらめたのか、残高が残っていたこと自体気付いていないのかもしれない。

 このあいだも2万円プリカを買って給油したあと、1万円以上残高のあるプリカを残したまま帰ってしまった客がいた。取りに来ないからといって、もうかったなどと喜んではいけない。客の責任とはいえ“もうプリカはこりごり”なんて思われては困る。ほかにも、財布や免許証、携帯電話、ヘルメットなどを計量機や精算機のうえに置いたまま、忘れて行ってしまう客もいるが、録画映像で確かめると、忘れ物をした客の多くは、給油をし、精算を終え、キャップ閉めるまでのあいだに、携帯をいじくったり、同乗者とおしゃべりしたり、窓を拭いたりといった、余分な所作をしている。とにかく、ほかごとを考えず給油に集中してください、とお願いしたい。

 時間を忘れるという客もいる。冒頭で述べたとおり、私の店の向かいにはコンビニがある。時々、給油を済ませてからコンビニへ行きタバコやドリンクなどを買って戻ってくる客がいる。店内が混雑していない限り、ほんの数分のことなので見過ごしているのだが、ごくたまに、車を給油レーンに停めたままいつまで経っても戻ってこない客がいる。たまりかねてコンビニに電話し、これこれの車に乗った客がそっちにいるはずなので戻ってくるよう頼んでもらうのだが、大抵はマンガ雑誌を読みふけっていて、時間が経つのを忘れているか、自分がガソリンスタンドに車を停めたままでいたことも忘れていたりする。

 ドイツでは、給油を終え支払いを済ませた60代の男性が、自分の車を忘れて歩いて帰ってしまったという、ナイスボケな話もある。それに近いというか、それよりもヒドイ話もある。もう何年も前だが、私の店で初老の夫婦が来店し、妻がトイレに行っている間に、夫が給油を終えて出て行ってしまった。妻は最初、車がないので戸惑いながらも販売室で夫の帰りを待っていたが、しばらくして夫の携帯に電話をすると、夫はすでに家に帰っていて、「あっ、お前がいたことを忘れとった!」─夫婦の間に亀裂が入らなければ良いのだがと心配したくなるようなホントの話。

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