セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.277『価格表示ガイドライン』

GS業界・セルフシステム

2009-10-05

 全石連は、ガソリンスタンドでの価格表示を適正化するための業界自主基準をガイドラインとしてまとめた。それによると、ドライバーが容易に認識できるように現金一般価格(フリー価格)を表示したうえで、会員価格やプリカ価格などの割引価格を表示する際は、『会員限定』などの適用条件を、金額のすぐそばに同程度の大きさの文字で見やすく表示し、なおかつそれらを計量機の周辺やセールスルーム等に掲示するよう定めている。

 価格の二重、三重表示はずいぶん前から問題視されていたが、全石連が基準を定めたところで、解決する問題とは思えないのだが、業界団体として何の行動も起こさないわけにも行かず、ガイドライン策定となったのだろう。ひとむかし前は、この業界は価格掲示という小売業者として当たり前の行為が“ご法度”だったが、いまでは価格表示の仕方を箸の上げ下げのごとく指図される有様となり、相変わらず「石油業界の“常識”は、小売業界の“非常識”」との揶揄は免れそうもあるまい。

 10月に入り、日進市では「市況是正」のために、レギュラーガソリンの一般価格は122円から129円に上がった。もともと9月1日に129円でスタートしたあと、仕入れ価格が下がっていないにもかかわらずズルズルと7円も値下げし、今度は値上げする材料が見当たらないのに一気に7円の値上げ。表示の仕方を云々言う前に、まずはこのような乱暴な価格の上げ下げの仕方を改めるべきだ。しかも日進市では、ガイドラインなんぞ屁の河童とばかりの二重、三重、四重価格に、メール会員価格や割引券まであって、これがお互いの疑心暗鬼を増幅させている。恐らく、来週のいまごろには前月同様、元の木阿弥となっていることだろう。毎度おなじみの光景で、もう馴れっこだ。

 全石連のガイドラインには、価格は消費税込みで表示するようにとの指針も含まれている。裏返せば、そんなことすらできないでいる業者がいるということだ。5年前に総額表示が義務付けられた時、いわゆる「百円ショップ」は、商品表示を105円に統一すべきか、実質的に値引となる100円で通すべきか悩み、苦渋の決断として105円の表示としたという。我々の業界に、価格表示に対するそれほどまでの責任感があるだろうか。いまだに、外税価格でドライバーの目をくらまそうとするようなさもしい輩は断固排斥すべきだ。

  小数点以下の価格表示も、罰則こそないが総額表示義務違反行為である。「119.9円」なんて姑息な価格表示がまかり通っているのはガソリンスタンド業界だけだろう。そもそも、そんな単価設定ができるPOSシステムに問題があるといえないだろうか。価格表示に関する一般的なルールも守れないような業界に、価格表示のガイドラインを示したところで、何の効果があるのだろうかと首を傾げたくなる。

 さらに、「合理的な根拠もなく『激安』『最安値』などと表示しないように」との規定が、今回のガイドラインで謳われているが、それこそ無用のおせっかいだ。仮に『安売り王』などという称号を掲げた店は、その名に恥じぬよう、常に最安値店であり続けるための永久運動をしなければならず、それは血のにじむような企業努力によって贖われることになるのだ。要するに、価格表示とは、その店と顧客との間のコミットメントであり、文字通り看板倒れとなれば、その店は顧客の信頼を損ない、退場を余儀なくされることになるのである。

 セルフの時代となったいま、GSにおける集客はライバル店を出し抜いて安い価格看板を出す以外になく、価格表示による謀略合戦は今後もやむことはないだろう。全石連はそんな業界に向けて助言するよりも、むしろ、ドライバーに向けて「ガソリンスタンドの価格表示の見分け方ガイド」でも発行・配布した方が良いのではないだろうか。

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