セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.279『監視カメラ』

GS業界・セルフシステム

2009-10-19

 私の店のネットワークカメラの録画レコーダーを買い替え、インターネット回線を使用して、自宅のパソコンでライブ映像が見れるものにした。四つの給油レーンと灯油コーナー、そしてプリカ販売室内の様子を、リアルタイムで自宅から観察できる。

 それにしても、カメラ映像を見ていると、単に自動車に燃料を給油するだけのことだが、いろいろなスタイルがあるものだなと感じる。例えば、給油の終わりに、計量機のホースに残った最後の一滴まで搾り取ろうと、右手でノズルを持ちながら、左手でホースのつけ根近くを持ち、それを小刻みに震わせながらフィニッシュさせる男性客がいる。おしっこするんじゃないんだから…。

 そうかと思えば、片方の手を車体にかけ、体全体を使ってゆすりながらタンク内の空気を抜き、少しでも多くガソリンを詰め込もうと試みる人もいる。同乗者に車をゆすらせている人もいる。ご苦労様です…。

 幼い子どもが乗っている場合、大抵、親にくっついてきて、券売機のボタンを押したがったり、プリカを読取機に入れたがったりする。このあいだは、小学校高学年ぐらいの男の子が、お母さんの代わりに給油しているのを、その弟らしき坊やが、「僕にもやらせて」とばかりにせがんでいる様子をニコニコしながら見ていた。子どもは総じてセルフスタンドが好きである。

 結局、私はスタンドの客の往来を観察しているだけなのだが、中には、こうした遠隔監視システムをより有効に活用したいと考えている経営者もいることだろう。例えば、遠く離れた本社から、映像を見ながら、スタッフの配置や接客の仕方などについて、リアルタイムで指示や督促を行なうということも可能だ。とりわけ、広域に店舗展開している会社は、本社からそれぞれの店の様子を見ながら指示を送れるので、大変便利だと思う。

 だが、遠隔監視システムに過度に依存したオペレーティングには懐疑的である。大切なことであればあるほど、遠くから指図するより、現場に出向き、スタッフの顔を見ながら話し合う方が良いと思う。そうしないと、経営者や管理職の真意や熱意が現場スタッフに十分伝わらない恐れがある。指示を出す側がバーチャル感覚に陥り、「こうしろ、ああしろ」と、ゲームキャラを動かすかのように遠隔操作しようとするなら、現場スタッフから反発を受けるかもしれない。あくまでモニターに映し出されているのは現実の世界であり、そこに登場するスタッフや客は生身の人間であることを忘れてはならない。

 それにしても、当たり前のことだが、客が次々と来店し、すべてのレーンが埋まっている状態を見るのは楽しいが、がら~んとして静止画像のようになっている映像を見るのは切ない。自宅でパソコンを見ながら、「あぁ、きょうもヒマそうだなぁ~、今月もキビシイなぁ~」なんてぼやきながらの晩酌は、決してうまくない。そんなことなら見ないでおけば良いのだが、そこは経営者の悲しい性で、ついつい覗いてしまうというわけだ。我ながら、アホだなと思う。

 ところで、この映像システムを、いずれどこかの元売が系列店への導入を義務付けるんじゃないかと考えたりもする。業転ローリーが出入していないか、マニュアルどおりの接客をしているかなど、系列店の“監視”を強化するにはうってつけのツールであり、元売にとっては、別の意味での「防犯」カメラになるというわけだ。

 かつては元売の社員が系列店を訪ね、キャンペーンの飾り付けをしたり、人手が足りなければ給油や洗車を手伝ったりしながら、店主や店長とコミュニケーションをはかろうとする光景が見られたものだが、セルフ化が定着し、テクノロジーが進化するにつれ、もはやそれらは過去の風景となってしまった。元売と系列店との距離は、今後もますます広がってゆくだろう。

コラム一覧へ戻る

ページトップへ