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和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.310『総理大臣がまた変わりましたけど』

政治・経済

2010-06-07

 鳩山首相が辞任、菅直人新内閣が発足した。その結果、20㌫を割っていた内閣支持率がイッキに60㌫台にV字回復、民主党の支持率も倍増した。鳩山さんが辞めたことも、菅さんが後任となったことも全然意外なことではないし、内閣の顔ぶれもほとんど同じであるにもかかわらず、これほどの効果をもたらしたのは、ただただ小沢幹事長に「静かにしていただきたい」と言い放ち、反小沢の急先鋒である枝野幸男氏を新幹事長に据えたことに尽きると思う。結局、平成の御世のなってからの日本の政治の歴史は、小沢一郎という人物を好きか嫌いかというきわめて人間的な要素がずっと根底にあったように思うし、まだしばらくはそうだろう。

 小沢氏が代表だった2008年1月に、民主党は「ガソリン値下げ隊」なる組織を結成し、ガソリン税の暫定税率廃止により1リットル当たり約25円の値下げをするキャンペーンを展開した。GS業界の人々も、はじめのうちは“そんなこと無理だろう”と考えていたが、衆参ねじれ現象の中で遂に3月末の期限切れを迎え、本当にガソリンが25円値下げされることになったのだった。政権が変わると市民生活も変わるということを、これほど如実に知らしめた出来事は近年なかったように思う。わずか1ヶ月とはいえ、ガソリン価格を政治の力で値下げさせたことが、今日の政権交代への第一歩となったように思う。

 2009年の衆院選で民主党は圧勝、我々は民主党政権がマニュフェストどおりに暫定税率を廃止する日を固唾を呑んで待ちもうけていたのだが、政権発足3ヶ月後に“大幹事長”の鶴の一声で、「廃止」は廃止となってしまったのはご存知のとおり。『国の財政状況や温暖化対策を考えると仕方がない』などとしたり顔で解説する人がGS業界にもたくさんいたが、公約の反故には違いない。この出来事を境に民主党政権への落胆が広がり始め、沖縄の基地問題で遂に止めを刺されたのだった。こうして振り返ると、小沢一郎という人はGS業界をも随分と振りまわしてくれたわけで、良くも悪くも人騒がせな人だなぁと感じる。

 さて、菅内閣は鳩山内閣の“居抜き内閣”ではあるが、その中でも唯一の目玉人事と呼べるのが行政刷新担当相にあの蓮舫参院議員を充てるというもの。二度にわたる事業仕分けで名を馳せた烈女をいよいよトップに据えて、さらなるムダの削減に取り組もうというわけだ。GS業界も、これまで様々な補助金の恩恵を受けてきたが、今後は期待できそうにない。確かに、口蹄疫の被害で壊滅状態に陥った宮崎県の牧畜業者の惨状を見ると、勝手に安売り競争を始めて窮地に陥っているような業界に補助金を出すなんぞは無駄のきわみであり、蓮舫大臣に放っておけばいいと判断されても仕方がないのかもしれない。

 ただし、補助金をカットするなら、それと並行してぜひ規制緩和を進めてもらいたい。日本では1998年にセルフが“解禁”されたが、その実態は「消費者の選択肢を増やす規制緩和」を装った規制強化であり、セルフスタンドには過大な安全装置や消火設備の設置が義務付けられた。そのため、セルフスタンドへの改造には多大な投資が必要となり、おかげで12年もの歳月を経てもなお、セルフはGS全体の2割程度にとどまっている。暫定税率が廃止できないのであれば、せめてセルフスタンドの建造及び運営にかかわる過剰な規制を撤廃して、一段のローコスト化が図れるよう支援してもらいたいものだ。

 さて、今回の事件で当分のあいだ“蟄居”の身となった小沢さん。参院選の後、9月の民主党代表選に照準を合わせて復権に向けて動き出すとの見方が専らだが、はっきり言ってどうでも良い。だれが権力を握ろうと、この国がいまより良くなってゆくとは思えない。ところで、菅新首相は消費税増税を念頭に置いているとも言われているが、仮に消費税を上げるのであれば、今度こそ、ガソリンの税金分は非課税としてもらいたい。あらゆる努力を傾けてガソリン価格の水準を抑えることは、子ども手当てを支給すること以上に国民からありがたがられると思うのだが…。

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