セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.317『暑中見舞い』

GS業界・セルフシステム

2010-07-26

 いや~暑い。暑すぎる。もはや猛暑を通り過ぎて酷暑とも言うべき暑さが続いている。こんな気候の中で、給油や洗車・整備に励んでいるガソリンスタンドの経営者や従業員のみなさんは本当に大変だと思う。熱中症で死者が続出しているというから、まさに命がけで仕事をしているといえる。

 最近はあまり見かけなくなったが、フルサービスのGSでは“店頭待機”といって、スタッフが全員屋外で待機し、客が来店すると車めがけて駆け寄り、大きな声と身振りで誘導していた。え?ウチのスタンドではいまでもちゃんとやっているですって?それは素晴らしい!この暑さの中でそこまでのことをして売るガソリンが、まさか10円そこそこの儲けしかないなどということはありますまい!?

 皮肉はともかく、セルフスタンドを10年もやっていると、もうかつての「サービスステーション」の世界には戻れないな、というのが率直な感想だ。客を計量機まで誘導し、注文を聞いて給油する。精算をしたあと前面道路まで再び誘導し、大声で「ありがとうございました!」と送り出す。ひと昔前まで、何の疑いもなくやっていたこと、一生懸命コンテストまでやって上達を目指したことが、実はまったく不要のものであったと知ったいまとなっては、35度を超える暑さの中でそれをやろうとしても、モチベーションを保つことができない。

 いまこそ、フルサービスのGS経営者のみなさんには、冷たいシャワーなどを浴びて頭を冷やしながら“なぜフルサービスなのか”と考えてもらいたい。それをすることでどんな益があるのかを明確に答えられなければ、自身も含め従業員を過酷な天候の中で働かせるのは、考え直したほうがよい。

 「自分はこれまで永年このやり方でやってきたんだから、暑さなんかでへこたれない」と豪語される方もあろう。しかし、自動車メーカーのトップドライバーが自動車事故で亡くなり、動物園の園長を務めたほどの人が落馬で命を落としたことを考えると、自分が習熟したことだからといって「大丈夫」とは言えない。むしろ、そこに過信や油断が生じ、最悪の場合、命にかかわる事態を招くかもしれないのだ。

 年々厳しさを増している夏の暑さに、医師や専門家は口をそろえて「これまでと同様の感覚で外に出て働いたり運動したりするのは危険」と警告している。一日の仕事を終え、消耗した体を冷えたビールで潤す時、「こんなことでいいのだろうか」と冷静に自問してみてはいかがだろうか。

 厳しさが増しているのは暑さだけではない。新しい仕切り制度が導入され、元売に忠義を尽くしてきたGSが次々と斬り捨てられている。これまで、元売の施策に則って愚直にやってきた結果“熱中症”にかかり、瀕死の状態となっているGSは少なくない。水分(業転)を補給したり、休息(セルフ)するなどして、生命維持のための努力を怠ったツケは小さくない。「これまで永年このやり方でやってきたんだから…」という理屈が通用しない環境に置かれていることに気づいていない、いや、気づこうとしない経営者の何と多いことか。

 セルフスタンドも例外ではない。初期の成功体験を引きずり、潮目を読むことなく量販志向に“熱中”していると、知らず知らずのうちに体温(収益)が維持できなくなり死に至ることになる。セルフスタンドの閉鎖が年々増えているのは、「これまでと同様の感覚で外に出て働いたり運動したり」して熱中症に陥っているセルフスタンドが多いことを物語っている。まだまだ暑さ厳しい折柄、くれぐれもご自愛のほどお祈り申し上げます…。

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