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和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.326『継続は力なり』

エンタメ・スポーツ

2010-09-27

 世の中には、努力だけでは成し得ない偉業を成し遂げる人物がいる。モーツァルトやゴッホ、エジソンやアインシュタイン、チャップリンやディズニーなど、いまも燦然と輝く足跡を人類史に残した人々を、私たちは「天才」と呼んでいる。そして現在我々は(少なくとも私は)、ひとりの天才が活躍する様をリアルタイムで目にするという幸運に恵まれている。メジャーリーガー、イチローその人である。

 近代野球においては不可能と思われたMLBの最多安打記録を84年振りに塗り替え、10年間途切れることなく毎年200本以上の安打を放ったという前人未到の業績は、野球というスポーツの世界の枠を超えて、人間の精神や肉体が生み出した一種の芸術作品として評価されるべきものだ。彼が日本人であるから賞賛するわけではない。いわんや、同じ愛知県人だからなどという了見の狭い話では断じてない。彼は“人類史”にその存在を刻んだ天才のひとりなのだ。

 イチローが天才であり続ける秘訣のひとつに、恐るべき「継続力」がある。自宅から球場に出かけるときは、必ず夫人手作りのカレーライスを食べ、決まったコースを通って、決まった時間にクラブハウスに入る。ランニングを始める時間も、柔軟体操を始める時間も、打撃練習を始める時間も、判を押したように同じ。感覚が狂うことを恐れ、他人のバットは絶対に握らない。試合後は、スパイクとグローブを磨き終わるまで帰らないなどなど、幾つかのルーティーンを断固継続する徹底した自己コントロールが、イチローを「安打製造機」たらしめているのだ。

 「継続は力なり」とはよく耳にする格言だが、決して容易なことではない。みなさんは、毎日欠かさずやっていることがおありだろうか。イチローの真似をして毎朝カレーライスを食ってもしょうがない。そもそもあれは、イチローが心身の状態を常にベストに保つために行なう一種の“儀式”のようなものだ。我々が毎朝ヨーグルトを食べたり、青汁を飲んだりするのとは意味が違う。もっとも、アスリートでなくとも、経営者であれサラリーマンであれ、体が資本であることに変わりはない。仕事でベストパフォーマンスを発揮するためには、まずは健康であることが不可欠だ。現役バリバリのメタボオヤジである私がそんなことを言っても全然説得力はないが…。

 「継続」というだけのことで申し上げれば、イチローがメジャーへ渡る前年の2000年から営業を開始した我が砦、「セルフスタンド日進東」は、現在まで一日も休止することなく営業を続けている。ただそれだけのことで、そこに誇れるような実績など何もないのだが、この期間に1万軒を超えるGSが消滅したことを考えると、よく続けられたものだとも思う。それを支えた原動力は、頑なにローコスト・セルフのスタイルを貫いてきたからだ。

 「いま自分にできること。頑張ればできそうなこと。そういう小さなことを積み重ねていかないと、遠くの大きな目標は近づいてこない」とはイチローの言葉。もちろん天才の言葉だから、この言葉通りのことがだれにも当てはまるわけではない。しかし、毎日変化のほとんどないルーティーンを愚直に継続する以外に能のない私にとっては、慰めとなる言葉だ。大した内容でもないのに、毎週、ものすごく苦労して書いているこのコラムを続ける励みにもなっている。

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