セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.333『セミナー』

GS業界・セルフシステム

2010-11-15

 私の妻は、現在、三男の通う小学校のPTAの委員を務めており(正確にはやらされている)、「図書委員会」に所属している。学級文庫の選定や管理などがおもな仕事だそうだ。これまで、長男、次男の在学中は何とか逃げおおせてきたのだが、とうとう選ばれてしまったとのことだ。しかし、妻曰く「図書委員で助かった。「成人」じゃなくて良かった」─。

 「成人」とは「成人教育委員会」のことで、父兄を対象とした教育セミナーの企画・運営を行なうのが仕事で、年二回、講師を招聘しての講演会を開催しなければならない。限られた予算枠でそれなりの講師にそれなりの話をしてもらわなければならず、企画・交渉・運営と、とにかく大変らしい。

 話は変わって、先日、ある石油販社の方と雑談する機会があったのだが、話題は、取引先のGS経営者を集めての「研究会」のことになった。2~3ヶ月に1回程度、講師を招いて開催しているそうなのだが、少し前に、GSの地下タンクの老朽化による漏洩問題と、タンクの入れ替え工事に関する講習会を行なったところ、数人のGS経営者が廃業を決意し名乗り出たという。

 「経営者のみなさんに役立つ情報をと思い企画したんですが、ショックが大きかったみたいで、取引先を減らすことになったしまいました」と苦笑する石油販社の方に、「でも、迷っていた経営者の決心を促すことができたんだから、凡百の研究会より効果があったといえるんじゃないですかね」と私。「で、次の企画は決まってるんですか?」と問うと、「ええ、やはりその一件に懲りて、当たり障りのない『洗車収益の向上策』とすることにしました」─。(笑)

 結局、そんな程度のことでお茶を濁している程度がちょうど良いということか。PTAも元売も、いい加減“ネタ切れ”状態に陥っているのだろう。『洗車収益の向上策』なんて、聞く前から大体内容の察しがつく。そして、そんなセミナーを何回行なったところで、ほとんど効果がないことも見当がつく。相変わらず「お客様に愛されるSS作り」だとか「スタッフをヤル気にさせる管理術」などの啓発セミナーも活発に行なわれているが、GS業界の活性化にほとんど役立っていないばかりか、講師にとっての“顧客”であるGSの軒数は年々減る一方だ。

 あるGS業コンサルタントは講演会で、「私はこの業界で10年以上活動してきたが、ちっとも変わっていない!」と聴衆を叱責したという。しかし、それはコンサルタントとしての己の無力無能振りを自白しているようなものではないか。そんな馬鹿に金を払って講演してもらっている元売・販社や組合はもっと馬鹿だと思うが…。

 「まあ、とにかく何もやらない訳にはいきませんから、研究会の体裁を整えているだけで、いわば取引先とのコミュニケーション作りですよ。出席者のお目当ても、そのあとの懇親会にあるみたいで…でも、最近は二次会の予算は出なくなりましたね」とは先の販社社員。

 「いま本当に必要なことは、多くのGS経営者にとって耳の痛いことだからね。例えば、系列店主を集めて、自分の会社のどこにムダがあるか“事業仕分け”するなんて刺激的で面白いと思うけどね。“あなたの店は本当に洗車機が必要なんですか”とか“なぜセルフなのにそんなにスタッフが要るんですか”とかガンガンやってね。でも、そんなことやったら大変なことになっちゃうかな」。

 「でもそれなかなか良いアイディアですね。和田さん、いつか講師になってやってもらえませんか」

 「ハハハ…絶対にお断りします!」─。

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