セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.363『券売機探してます』

GS業界・セルフシステム

2011-06-20

 興味深いレポートを見た。2010年に牛丼チェーン店で発生した強盗事件(未遂も含む)は,業界第1位の「すき家」で57件,第2位の「吉野家」で7件,第3位の「松屋」で0件─つまり,圧倒的に「すき家」が強盗の標的となっていることがわかる。その理由は,「すき家」は,券売機による前払い方式ではなく,レジによる精算方式を導入しているためではないかと思われる。ちなみに,「吉野屋」もレジ精算だが,「すき家」が1ヶ所での集中方式なのに対し,「吉野家」はカウンター数箇所で精算ができるようになっているため,売上金が分散されており,強盗がお金を集めるのに時間がかかるとのことだ。

 ネット上では「すき家」をターゲットにした“強盗マニュアル”なるものが出回り,「すき家」の弱点が“解説”されているという。なお,その“マニュアル”によれば,「松屋」は「券売機による鉄壁のディフェンス」と恐れられているそうだ。

 ならば,「すき家」も券売機を導入すればよいのかといえば,話はそう簡単ではない。業界最安値の牛丼を提供するためには,客回転率を極限まで上げる必要がある。「松屋」のように,カウンターには空席があるのに,券売機の前には列ができるという状況は許されない。さらに,全国で1,500を超える「すき家」の店舗の仮に半分に券売機を設置するだけでも,機器代や管理費で「すき家」の利益は吹っ飛んでしまう。経営か,安全か─経営者にとって究極の選択である。

 プリカによる前払い精算方式を基軸としたローコスト・セルフスタンドにおいては,券売機が不可欠である。しかし,牛丼店とは異なり,セルフスタンドでは,プリカ方式によって客の回転率はむしろ向上する。安全性については言うまでもない。屋外精算機に,売上と釣銭を併せて何十・何百万円もの現金を入れておくなんて考えただけでゾッとする。

 ところが,先日,私の店の券売機が突然動かなくなってしまった。紙幣をのみ込み,釣り札を吐出する紙幣ビルバリという電装品が,うんともすんとも言わなくなってしまったのだ。そのような時のために,私の店には普段から,もう一台,予備の券売機が置いてあるのだが,半月ほど前にその券売機を他のセルフスタンドの予備機として廉価で転売し,新たに発注した券売機が到着したら,現在のメイン機を予備機へまわそうとしていた矢先のトラブル。よりにもよって,予備機がないときに限って起きるとは…。やむなく“人間券売機”つまりスタッフが手売りをすることでしのぎ,翌日には新しい券売機が到着,故障機も復旧してやれやれということになったが,冷や汗モノであった。

 一万円札から千円札までに対応する紙幣循環式のプリカ券売機は,1台120~150万円。今回のようなトラブルに備えて,ユーザー様には券売機を2台設置するよう勧めているのだが,250万~300万円の投資は小さくない。それで,予備機については中古券売機を斡旋するようにしているのだが,近年,中古のプリカ券売機がめっきり市場に出回らなくなった。ヤフオクなどで探しても,食券販売機ばかりでなかなかお目にかからない。

 ハイカがなくなり,テレカが使われなくなって,プリカそのものの需要が減少していることが背景にあるようだが,ローコストで安全にセルフスタンドを運営するためには,プリカ精算方式がベストであり,プリカ券売機は必須のアイテムなのだ。具体的な機種としては,グローリー工業が製造・販売しているKC-504(4券種・レシート機能付)が最適。中古機があればぜひご一報願いたい。

コラム一覧へ戻る

ページトップへ