セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.365『ガス欠』

GS業界・セルフシステム

2011-07-04

 夏の節電対策として自動車業界が導入した,工場の「土・日操業」が今月2日からスタートした。9月末まで,電力消費の多い木・金曜日の操業をやめることにしたため,豊田市のとなり町である日進市でも,住民の生活に様々な影響が出たようだ。そりゃそうだろう。トヨタの休業日が変われば,関連部品メーカーも含め,何万人もの人の生活パターンが変化するわけだから,周辺地域のスーパーやコンビニやレストラン,そしてガソリンスタンドも,その変化に対応せざるを得ない。

 私の店に限って言えば,7月1日の木曜日の販売量は,普段の木曜日とほぼ同じレベルだったのだが,翌2日の金曜日は,朝から,ダラダラとではあるが途切れることなくお客様が来店し,普段の金曜日の2割強の販売量となった。おかげで,2基あるレギュラーガソリンのタンクのうちの小さい方の在庫が,予想を超えるスピードでひっ迫する事態となった。

 ところが,翌日・土曜日の午前中に来る予定だったタンクローリーがなかなか来ないではないか。スタンド従業員も,もっと早い時間に発注先に確認すればいいものを,必ず来ると信頼していたのか,夏の暑さでボーっとしていたのか,昼近くになってようやく問い合わせるという始末。すると,「夕方の予定になっている」という返事。どうやら,配車係のミスだったらしく,いまから手配しても午後3時過ぎになるという。

 「選りにも選ってこんな時に!」と激怒しても,あとの祭り。トヨタが操業しているとはいえ,そこはやはり土曜日。いつもどおりのペースで車が入ってくる。小さいタンクで賄っている給油レーンがガス欠すれば,“片肺飛行”状態の営業となってしまい,お客様に迷惑をかけるということで,やむなくローリーが来るまでの3時間あまり,ハイオクガソリンをレギュラー価格で給油することを指示,何とか乗り切った。もちろん,その差損額はヘマをやらかした発注先に請求させてもらうつもりだ。

 そんなこんなあったものの,結局,土曜日の販売量もまずまずで,日曜日も平常値とあって,私の店では第一週目の「土・日操業」は,全体として恩恵をもたらすこととなった。休日の分散化はかねてから提唱されていたことなのだが,実際やってみると節電以外の相乗効果をもたらすのかもしれない。子どもたちが夏休みのあいだだけでも,毎年やればよいのになとも思う。それはともかく,当分のあいだ,金曜日の在庫量はもう少し余裕を持たせるよう気をつけねばなるまい。

 しかし,それ以上に悩ましいのは,木・金曜日の増販を目論んで,周辺のGSが今月に入り一段の値下げに踏み切ったことだ。今月からやや下がったとはいえ,系列店の仕入れ価格(税別)は概ね130円を少し切った程度と聞いている。ところが日進市は,3日現在,ほとんどのGSで税込み137~8円でガソリンが売られている。額面どおりで計算すれば,儲けが2円前後しかないことになる。「だのになぜ 歯をくいしばり 君は売るのか そんなにしてまで~♪」と歌いたくなる。全量業転・ローコストセルフの私の店も,ついて行くのがやっとだ。

 震災によって,日本のほとんどすべての産業が様々なかたちで変化や調整を余儀なくされているというのに,GS業界はそれを拒むかのように,市況崩壊のメルトダウンを続けている。このままだと,タンクがガス欠する前に,経営を続けてゆく体力そのものが“ガス欠”してしまうだろう。

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