セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.378『オレ流』

エンタメ・スポーツ

2011-10-10

 “名古屋生まれ,名古屋育ち”の野球好きと聞けば,大抵『じゃあ,和田さんも中日ファンなんですね』と決め付けられてしまう。無理もない。何せ,世間の人は,名古屋人はみんなエビフライとドラゴンズが大好きだと思っているのだから─。

 確かにエビフライは好きだが,私は切ればオレンジ色の血が出るジャイアンツファンである。その私にとって,実に喜ばしいニュースが先月22日に報じられた。中日・落合監督が契約期限切れを理由に,今シーズン限りで退任するというのだ。この8年間,我が巨人軍は,この名将にどれほど煮え湯を飲まされたことか。その落合監督がいなくなるのだ。こんなありがたいことがあろうか。

 昨シーズンまで,優勝3回,それ以外のシーズンもすべてAクラス入り,今シーズンも一時は10ゲーム差もあったヤクルトを抜いて首位に立つという文句の付けようのない成績を挙げながら,事実上の解任。その理由は,諸説報じられているが,勝利優先の妥協を許さぬ采配が,「地味すぎる」「ロマンがない」などの不評を浴び,それが観客数の減少を引き起こしたということらしい。

 馬鹿じゃないのか? 落合監督曰く「勝つことが最大のファンサービス」であり,それを盛り上げて観客を呼び込むのは球団経営陣の仕事だ。自分たちの無策を棚に上げて,「強すぎてつまらない」とは…。弱くても面白いことさえやっていればいいというのなら,いっそのことドアラを監督にしろよと言ってやりたい。

 先日,油業報知新聞主催のセミナーにおいて,今後のPBスタンド経営を議題としたパネルディスカッションが行なわれ,私もパネラーの一人として出席し自論をぶった。すなわち,客はガソリンスタンドに好きで来ているわけではない。おまけに我々が扱っている商品はどこで買っても同じ物。ならば,価格で競争する以外に道はなく,現在の厳しい環境はこれからも続く。その現実から目を背けず,また“オンリーワン”などといった幻想を捨てて,コスト削減を追及してゆくしかない。そのためには,ローコストのPBセルフとして生き延びてゆくべきだ─。

 会場は「………」となってしまい,しばらくして,最前列にいた年配のGS経営者がボソっと「それじゃあ,夢がにゃあなぁ~(ないなあ)」と一言。ごもっともです。しかし,夢やロマンを追い求めているうちに,経営が立ち行かなくなっては元も子もない。過去の成功体験を引きずり,また,いまのしがらみにとらわれて改革をためらっているうちに環境はますます厳しさを増してゆく。

 別の出席者からは,「さっきから聞いていると,みなさん,自分たちがどうやって生き残るべきかということばかり論じていて,肝心のお客様のために何をなすべきかを考えていない」とのご意見。これもごもっとも。しかし,そんなことがわかっていれば苦労はない。むしろ,いまできることは,それぞれの地域で一日でも長く商売することによって,地域インフラとしての使命を果たすこと,つまり“オレ流”で言わせてもらえば,「続けることが最大のサービス」なのではないか。

 セミナー会場は,終始そこはかとない不安と焦燥感が漂っていた。無理もない。だれも十年先はおろか,来年のいまごろはどうなっているのかさえ予測できないのだから。いま私が確実に言えることは,巨人ファンは来年からドラゴンズをまったく恐れる必要がないということだけだ。

コラム一覧へ戻る

ページトップへ