セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.399『震災一周年』

オピニオン

2012-03-12

 東日本大震災か一年が経過した。2万人近い犠牲者を出し,いまもなお34万人以上が避難生活を送っている。震災関連で倒産した企業は,負債総額1,000万円以上のものだけで約650件,9,250億円に上り,阪神大震災の7倍に達している。(東京商工リサーチ調べ) 改めてあの震災の大きさに慄然とするきょうこの頃である。

 先日,長男が友人と二人で,仙台へ“日帰りボランティア”に行き,津波に襲われた宮城野地区の風景をカメラに収めてきた。それは倒壊した家屋やがれきが点在するだけの“荒野”そのものだった。いまにも崩れ落ちそうなキャノピーだけを残して無残な姿をさらすガソリンスタンドの姿もあった。あれを見ただけでも,津波の破壊力の凄さがわかる。

 これまでセルフ改造の際には電気工事を請け負ってもらっていた私の友人も,テンポラリーボランティアとして半年ほど前から岩手県に移動し,復旧活動に携わっている。先月,愛知県に帰省した際に食事をしながら話を聞かせてもらったのだが,都市部と沿岸部とでは復旧にかなりの差があるとのことだった。物質的な支援は十分行き届いているが,これから必要とされるのは精神的な支援だろう,とも。『とにかく盛岡ラーメンは美味いッス!』─。

 復興のために,わたしたち一人ひとりは何をすることができるのか。とりあえずは,経済的な支援だろう。義援金や寄付金を少しでもたくさん拠出できるように,あるいは被災地の特産品などをできる限り購入できるように,しっかり利益をあげることだと思う。自分や家族,従業員のためだけでなく,被災地の人々のためにも稼がねばならないと思えば,採算度外視の販売競争は慎まざるを得なくなるはずだ。

 ところが,我々の業界は,相も変らぬ価格競争を繰り返し,復興支援に貢献するような余裕はまったくないという状況が続いている。困ったものだ。この際,業界をあげて『ガソリン1㍑あたり5円を被災地支援の寄付金とさせていただきます』と宣言してみてはどうだろうか。そうすれば,このところ毎週のように行なわれているガソリンの値上げに対して,お客様から一定の理解と協力を得られるかもしれない。また,我々売る側も,自分たちが1㍑あたり幾らの利益を確保しないといけないかを再認識するようになる。

 また,NHKが調べたところによると,宮城県と岩手県の27の市町村で震災後に廃止した施設は77,休止状態が確認されている施設は43で,合わせて120に上るという。このため,ガソリンや灯油の調達が困難になり,住民生活と共に漁業などの産業の復興にも影響が出ている。石油元売は,GS銀座となっているような場所に,これでもかとばかりに巨艦セルフを建設する余裕があるのなら,ポンプスタンドでもいいから被災地にGSを建設すべきだ。もちろん運営は100㌫子会社が行なうのが最適だ。採算を考えずに安売りできるのは彼らしかいない。いまこそ被災地復興の一環として,その馬鹿力を発揮してもらいたい。

 被災地で活動するボランティアの人々が異口同音に訴えるのは,被災地のことに興味を持ち続けて欲しいということだ。復興への道のりは遠く険しい。いま自分に何ができるかを問い直し,出来ることを行なってゆこうと思う。

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