セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.412『クレジット手数料』

社会・国際

2012-06-18

 『水戸市内の飲食店で,客がクレジットカードで飲食代金を支払う際に,店がカード会社との契約に基づいてカード会社に支払う加盟店手数料分を代金に上乗せして請求する不正が横行している。カード会社の業界団体は「利用者が不正に気付いていない場合もある。精算金額が後で変更されるなど,おかしいと思ったらカード会社に連絡を」と注意を呼び掛けている』─6月18日付「毎日新聞」

 手数料を7%支払っているという水戸市内のある飲食店は,新聞の取材に対して,上乗せを認めたうえで「ぎりぎりの利益でやっている。客に負担してもらうのは仕方ない」と開き直っている。手数料の上乗せは支払いの際,客がカードを使用しようとすると「計算を間違えた」と再度料金を提示する店や,「カードの場合は手数料がかかる」と,数%を上乗せして精算するなどのケースがあるという。

 つい先日,私も名古屋市内のカフェバーで知人とビールを飲んだ後,清算時にクレジットカードで支払おうとしたら,店員が申し訳なさそうに,「クレジットですと手数料5%分代金を余分にいただくことになりますが…」と言うので現金で支払ったのだが,それが不正行為になるとは知らなかった。カード会社と店との取り決めでは,「利用者への手数料上乗せ」を禁止するのが一般的で,悪質な場合は契約を解除されることもあるという。

 これはGS業界にとっても,考えさせられる問題である。ひと昔前は,クレジットカードの利用客には,現金価格よりも3~5円高値の設定で販売するGSが多かったが,昨今では,元売が発券するクレジットカードで「最大7円引き」だの,「入会一ヶ月は10円引き」だのと“クレジット会員に非ずんば客にあらず”とも思えるような厚遇振りである。もちろん,「ぎりぎりの利益でやっている」GS業者に,そんなサービスを提供する力はないので,元売,ひいては提携先の信販会社がその原資となっているのだが。

 手数料負担がキツイというのなら“クレジットお断りの店”にすれば良いと思うのだが,やはり,ポイントなどの特典で集客が見込めることや,財布の中を気にせずに済むため客単価が上がるなどのメリットがあるため,簡単には捨てがたいのであろう。PBスタンドになろうとする時でも,そうしたクレジット会員が離れてしまうのではと考え躊躇する経営者は少なくない。そんな客はさっさと系列店にくれてやって,その何倍もの現金フリー客を集めれば良さそうなものだが。

 系列店々主の中には,クレジット会員獲得に血道を上げているに人もいるが, 自分の店に来店していない個人や法人を訪ねて入会を頼むのならまだわかるが,すでに来店しているお客様に入会を勧めてどうするんだと言いたい。自分の客を手間隙かけて元売に譲り渡しているということがわかっているのだろうか。

 今後,欧州の経済危機や中国のバブル崩壊が顕在化すれば,信販会社が手数料の引き上げや,特典の改定・廃止を通告してくる可能性は小さくない。獲得キャンペーンのキックオフの時は,クレジット会員獲得のメリットを得々と説いていた元売が,その時になって「代理店,特約店のみなさんには新たなご負担はお掛けしません」と言ってくれるだろうか。そう思う方は,どうぞ引き続きクレジット会員獲得に邁進されるがよろしかろう。もし,あとになって,元売が水戸市の飲食店のように手数料を上乗せして請求してきたら,果たしてどこに訴え出ればいいのだろう…。

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