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和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.438『政権選択』

政治・経済

2012-12-17

 自民党の圧勝(というより,民主党の大敗)に終わった今回の衆院選を,12月17日付の毎日新聞は社説でこう論じている。「食堂で注文が決まらない時に,迷ったあげく無難にカレーライスなどを頼んでしまった経験を持っている人は多いだろう。これと,政権選択を同列に論じるのは乱暴かもしれないが,自民党とカレーがダブって見える」─。

 なるほど,うまいこと言うもんだな。“あすの日本を決める一票”などと言ってみても,国民の政権選択の感覚はその程度のものなのかもしれない。まあ,それだけ平和な国ということなのだろう。とにかく,だれの目にも明らかなことは,3年前に政権を託した民主党が,マニュフェストで謳った政策をことごとく反故にしたことへの失望だけだ。

 考えてみれば,人生の中で“満足のゆく選択”というものをどれほど経験することができるだろうか。その日に着るものや食べるものを選ぶといった小さな事柄から, 結婚や就職といった重要な事柄に至るまで,人は常に選択し,決定しなければならない。そして,かなりの割合で“あんなことしなければよかった”と後悔しているのではないだろうか。それが,人生の岐路となる一大事ともなれば,悔やんでも悔やみきれない。

 GS経営を生業とする我々にとって,仕入先を選択することは,ある意味,政権選択よりも重大な問題だ。先ごろ,外資系元売から民族系元売へと仕入先を替えたあるGSは,毎月の販売量が前年より増加しているという。その理由は,意外にも,元売が無償で店舗の塗装を行ない,ユニフォームを支給してくれたことだという。以前の元売は,色あせてきたので塗装してほしいと言うと,指定色の塗料を送りつけてきて“自分で塗ってください”という対応だったし,ユニフォームは有料だったそうだ。

 マーク替えのお祝いとはいえ,新しいカラーリングと新しいユニフォームを得て,スタッフ全員が新鮮な気持ちになって仕事に取り組んだことが功を奏したのではないかと,そのGSのマネージャーは分析していた。そんな単純なものかなとも思うが,新たな選択はとりあえず“吉”と出たようだ。

 しかし,仕入先に望む最大の課題はやはり“価格”であって,そこに満足感が得られなければ,蜜月関係はたちまち冷えこんでしまうだろう。価格だけの問題じゃあないというのなら,石油元売はより多くのGS経営者から選んでもらえる存在となるべく競う合うべきなのだが,いまのところ,高いブランド料を払ってでも取引したいと思えるほど魅力的な元売は…ない!

 したがって,私はPBを選択し,「あすはどこでどれだけ買おうか」という決断を毎日のように繰り返しているが,この道を選んだことを後悔していない。むしろ,なぜもっと多くのGS経営者がPBにならないのか不思議に思える。別に,結婚や離婚を決断するほど大層なことではないと思うのだが。

 もう一つの重要な選択は,セルフ化するかどうかということ。一言でセルフと言ってもいろいろな形体があるが,私が提唱するローコストセルフは,いまだ少数野党のような存在だ。しかし,これを選択した勇気あるGS経営者の方からは,概ね「ローコストセルフシステムを選んでよかった」と評価していただいている。民主党にはできなかった無駄の削減を,GS業界においてはローコストセルフシステムによって実現することができる。これはすでに10年以上に渡って実践し,実証してきたシステムであり,いい加減なマニュフェストのようなものではない。ぜひとも,あすのGS経営を決める“清き一票”を投じていただきたい!

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