セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.442『セルフヘルプ』

オピニオン

2013-01-21

 今年も,各地で元売支店や組合支部が主催する新年賀詞交歓会をが開催されている。今年は巳年ということで,「今年こそ“脱皮”の年にしよう」とか「竜頭蛇尾にならないようガンバロウ」などといった挨拶がなされているのだろう。こうした席では,具体的な目標や約束を示すと“やぶ蛇”になる恐れがあるので,干支の生きものにに引っ掛けて,わかった様なわからない様な抱負を述べておくのが慣例となっている。それに,聴衆の大半も,このあとの懇親会や二次会目当てで来ている人たちがほとんどだろうから,真面目な挨拶など“蛇足”というものだ。

 前の巳年,つまり2001年といえば,9月11日にニューヨークで同時多発テロが起き,人類は新たな恐怖の世紀を迎えることとなった。このコラムを書いている最中も,アルジェリアの天然ガスプラントで起きたテロにより日本人も犠牲になったと報じられている。我々が販売している商品は,テロとの戦いをかいくぐり,命がけで届けられていることを考えると,もっと大切に売らなくてはいけないと思う。

 とはいえ,同年10月には,BPが日本市場での将来性に早々と見切りをつけてGS経営から撤退したが,12年経ったいまも,相変わらず量販指向が改まらず,貴重な資源を採算度外視で販売している。しかも,元売販社が率先して。このように,いつまで経っても習性が直らない愚かな人々のことを指して“蛇の曲がり根性”と言うのだそうだ。

 また,今月10日には,公取が福井県の「ミタニ」とその子会社の不当廉売に対して「警告」がなされたが,2011年の5月から12月ごろまでの事案に対する措置ということで,いまさらの感がある。しかも,大山鳴動の挙句に「警告」って…まあ,予想していたとおりだが,お上による厳罰を期待していた周辺のGS業者たちはずいぶんと落胆しているとのこと。さもありなん。しかし,全石連の会長さんが,今月18日の賀詞交歓会の挨拶で言っておられたとおり,『経営は自己責任であり市場や元売のせいにしてはいけない』のであって,『自助努力で切り開いてゆく以外に道はない』のだ。(1月21日付「油業報知新聞」)

 元売の賀詞交歓会で,小売部長あたりから「みなさんと共に最強のブランドを構築してゆきましょう!」なんて呼びかけられて,いまさら本気になるGS経営者はほとんどいないだろうが,その一方で,“蛇ににらまれた蛙”のように,元売幹部の前では日ごろの不満をこれっぽっちも言えず,逆に「がんばります」と返事している人もまだまだ少なくない。結局,いまさら「自助努力」と言われたところで為す術を知らず,元売に助けてもらわなければ,仕入れることも売ることもできないような人たちは,“蛇の生殺し”になるのを覚悟で,元売と一緒にやってゆくしかないのである。

 全石連会長のお言葉を私なりに解釈させてもらえれば,「自助努力」とは,英訳すれば「セルフヘルプ」。まさに,私が前の巳年から,いや,それ以前から訴えてきたことだ。ローコスト・セルフシステムによって手も足も無い蛇のようなシンプルな姿となって,密林のような,はたまた,砂漠のようなGS業界をしたたかに,しなやかに生き抜いてゆくべきなのだ。『業転ガソリンなんか買ったら客の信用を失うのではないか』とか,『セルフ,それもローコストセルフなんかにして客がくるだろうか』などと,いつまでも疑い続けて自分を苦しめることを“杯中の蛇影”と言う。前の巳年は,日本の自動車燃料の消費量がピークに達した年であり,それから12年間,ガソリン需要がどんどん下降してきている現状を見れば,いつまでも系列店仲間や組合仲間と“とぐろを巻いている”場合ではないはずだ。

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