セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.46『ふと、地球環境について考えてみた』

社会・国際

2005-01-31

 この間、NHK総合テレビ「にんげんドキュメント」で、愛媛県立とべ動物園で、世界でも例のない人工飼育で育てられた、ホッキョクグマの「ピース」とその飼育員の5年間の記録を観た。生後百日ぐらいが経過したころの子グマの愛くるしい姿は、まるで“生きたぬいぐるみ”だ。

 ところが、世界自然保護基金(WWF)の研究結果によると、地球温暖化が急速に進んだ場合、20年以内にホッキョクグマやアザラシの仲間など北極の多くの生物が絶滅する危険性があるというのだ。WWFは、十分な対策が取られなければ、今世紀末までには夏に北極の氷が消滅する可能性があるという。WWFは「そのうちに北極が北極と認識できなくなる」と警告、工業先進国などに速やかな温暖化防止対策を取るよう求めているとのことである。

 しかし、これまた先ごろ放映されたNHKスペシャル「石油高騰」を観ていたら、昨今の原油価格高騰を仕組んだ石油メジャーやヘッジファンドは、空前の利益にも飽き足らず、エネルギーの供給不安を煽りながら、まだほとんど手付かずのアフリカやアラスカの石油資源を虎視眈々と狙っているという。石油を掘れば、当然地球環境は破壊されるし、その石油を消費すれば地球はますます温暖化するというわけで、まあ、人類はこのままの貪欲さで突っ走って行けば、核戦争なんかやらなくてもまちがいなく絶滅するというわけだ。

 環境問題となれば、我々ガソリンスタンド業界も大いに関係のある問題だ。自動車がガソリンで動く以上やむを得ぬこととはいえ、公害の素のようなものを売っているわけだから、多分に申し訳ない気持ちを抱かざるを得ない。差し当たって、量販型セルフスタンドを作って、「ガソリンをガンガン売ろう」なんて言っているような人間は、宇宙船「地球号」の乗組員としては不適格で、ホッキョクグマの餌にでもなったほうが良いだろう。

 これ以上ガソリンを消費させないためには、ガソリンをうんと値上げして、皆が無駄遣いしないように誘導すべきだと思うが、それは無理だろう。何せ、今月から仕入れ価格が上がったというのに、逆に販売価格をどんどん値下げしているような業界なんだから。自分たちが生き残ることさえ考えられないような連中じゃあ、地球環境のことなんて考えられっこないだろう。ここはひとつ、環境税をドカンと課税してもらって、ガソリンの消費を抑えてもらうしかない。

 セルフスタンドとは、適正価格でそこそこ売れば、あとは低い固定費のため、利益を出すことができるというコンセプトで作られるべきものであって、安売り量販の道具ではないのだ。あと20年もして、ホッキョクグマが地球上からいなくなってから後悔しても遅い。ガソリンは製品の品質だけでなく、その売り方も“地球に優しい”ものであるべきだ。

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