セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.480『スタバ』

政治・経済

2013-10-21

 中国中央テレビ局が今月20日報じたところによると,スターバックスは中国国内のコーヒー価格を他国より高く設定しており,これにより大きな利益を上げているとのことである。例えば,北京のスターバックスのミディアムサイズのラテは27元(4.43㌦)と,米国内での価格より3分の1高いそうだ。

 上海のコーヒー協会は,「スターバックスは,欧米ブランドに盲目的な信用を持っている顧客のおかげで高い価格の恩恵を享受している」としてスタバを批判している。一方,スタバは,中国国内の事業コストや為替・不動産動向などを踏まえ価格戦略を立てているとし,「営業コストはそれぞれの市場で異なり,他の市場と比較して結論を出すのは不適切だ」と反論している。

 たかがコーヒー,高過ぎると思えば飲まなきゃいいだけの話だとも思うが,中国でもスタバブランドは強力なようだ。日本では,リーマンショック後の業績不振に陥ったスタバ・ジャパンが,新たに就任したCEO・岩田松雄氏のもとでスタバブランドの構築を掲げ,値下げやクーポン配布を一切せずに,質の高いコーヒーを快適な店舗環境で提供することで業績を回復させ,今年9月に国内1,000店舗を達成した。いまは経営コンサルタントに転進した岩田・元CEOは「ビジネスジャーナル」誌のインタヴューにこう答えている。

 『ブランドというのは,お客様とのある種の約束だと私は考えています。「いつでもおいしいコーヒーを出す」「いい店舗環境である」「いつも笑顔で」というお客様との契約です。これはスタバのどの店舗でも同じです。だから,スタバに対してブランドは成り立っているわけですね。その契約の中には,価格も含まれていると思っています。だから,昨日までの値段と明日からの値段が違っていたら,それは約束を守っていないことになります』─。

 売上が振るわないとすぐに100㌫販社にディスカウント販売させて,自らブランドの価値を貶めているどこかの石油元売と比べて何と高い志であろうか。もちろん,コーヒーと違って「おいしいガソリン」なんてないわけで,結局,GSは近所にあるとか,価格が安いという理由で選ばれており,『あそこのマークのGSでなくちゃ』なんて言ってもらえるようなブランド力は,どこの元売にもない。

 それにもかかわらず,元売は系列店への卸価格にブランド料を上乗せしているが,一体どれほどの“御利益”があるというのだろう。例えば,スタバ・ジャパンでは業績回復によって得られた利益を,ディスカウントではなく,店舗のインテリアやWi-Fi環境の整備に再投資している。若者たちがやたらとスタバに行きたがる理由はそんなところにあるようだ。

 一方,石油元売は自社系列店舗を魅力的なものとするためにどんなことをしているか。ブランド料を支払って高い油を元売から仕入れているGS経営者は,よく考えてみてはいかがだろう。あるいは,冒頭で紹介した中国当局の如く,PB店との仕入れ格差に文句を垂れる前に“ブランド品”を仕入れているという系列GS店主の矜持というものを見せてほしいものだ。そんなこんなで“ああ,やっぱりPBセルフが一番や”なんてつぶやきながらスタバでコーヒーをすすってこのコラムを書いている。(ウソ)

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