セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.493『制服文化』

GS業界・セルフシステム

2014-01-27

 『俳優の伊勢谷友介が代表を務める「リバース・プロジェクト」が,伊藤忠商事と協業して「全日本制服委員会」を発足する。環境に配慮した雇用制服の導入を推進していくプロジェクトで,第1弾として伊藤忠エネクスのガソリンスタンドの制服を刷新。「さまざまなモビリティサービスのみならず,街のコミュニティサービスを担う場」をイメージしてデザインされ,「SPORTY」と「CLASSIC」の2タイプ4カラーを案としてラインナップ。投票を経て決定した新モデルを,今年秋頃から順次着用していく』─1月22日付「ライブドアニュース」。

 保守的で組織性が強い日本人は,とりわけ制服が好きな民族らしい。制服は,組織内において仲間意識を構築し,共通目的を浸透させるための有効なツールである。また,パブリックスクールの制服のように,ある基準や資格を有していることへの優越感と責任感を自覚させるものもある。警察官,消防士,看護師,パイロットなどは,その制服ゆえに子どもたちの憧れの職業として常に上位を占めていると言える。

 では,ガソリンスタンドの制服にはどんな効果が期待されているのか。それを身に付けると,責任感が沸いてきたり,優越感に浸ったりするということはほとんどないのではないか。元売系列GSのユニフォームが刷新されるたびに,「躍動感を強調する」とか「挑戦する姿勢を演出する」などと,大仰なコンセプトが併せて発表されるが,そんなものがユニフォームから生まれるとは到底思えない。

 来店する客から見れば,ユニフォームを着ている人がいれば,それが従業員であることが分かるということだけで,それ以上でも以下でもない。以前,私の店で会社の作業服を着て給油をしていた男性客が,隣のレーンで給油しようとしていたオバチャンに“すみませーん,こっちもガソリン入れてくださーい”と声をかけられていた。(笑)

 GSに限らず,制服に求められる最大の要素は機能性だ。動きやすく,夏は涼しく冬は暖かい素材であること。また制服はいかなる時も清潔でなければならないのだから,汚れがつきにくく,かつ落ちやすい素材にすることも大切だ。どこのどなたがデザインしたかということは大したことではない。ましてや,イメージ・コンセプトなんてどうでもいい。むしろ,そんなものが色やデザインに反映されると,従業員がGSから一歩外に出たらたちまち脱ぎ捨てたくなるような代物になってしまうことすらある。

 さらに大切なことはコストだ。支給するか貸与するかにかかわらず,男女それぞれのサイズのものを用意しておかなければならない。そもそも,コスト競争力を高めてゆかなければならないセルフGSにおいて,制服が本当に必要なものかどうか。清潔で節度のあるものであれば,スタッフ各自が着慣れた衣服,履き慣れた靴でいいのではないか。そういうわけで,我が「セルフスタンド日進東」では,私を含めスタッフ全員,私服である。

 ところで,最近,日本の制服文化は海外で見直されているという。米国の公立学校で制服を導入したところ,生徒間の貧富の格差意識が薄れ,モラルが向上したそうだ。また,アニメなどの影響で,日本の制服はキュートでカワイイと評判なのだとか。そのうち,「メイド喫茶」ならぬ「メイドGS」なんてものが出現するかも…いや,やっぱりダメだ!それは消防法違反である。GSは可燃物を扱う店だから“萌える”モノは持ち込み禁止なのだ!

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