セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.522『心に響くアドバイス』

オピニオン

2014-08-25

 求人情報サービス「エン・ジャパン」は,運営する求人サイト「[en]チャレンジ!はた☆らく」上でサイト利用者1,530名を対象に「心に響いたアドバイス」についてアンケートを行なった。それによると,最も心に響いたアドバイスをくれた人は1位が「上司」(23㌫)で,2位は「先輩」と「家族」が同率(18㌫)だった。やはり,経験を積んだ人からの助言は,その後の仕事に対する考え方や,生き方そのものにまで影響を与える“重み”を持っているのだろう。

 例えば,他の人と比べて自分の接客スキルの低さに落ち込んでいた21歳に上司が授けたアドバイスは,『そうやって悩むことが,お客さまのことを真剣に考えているということだ。頑張っている姿をみんな知っているから,自信持ってやりなさい』─。このアドバイスで,他の人と比べてではなく,自分がいま出来ることを精一杯やろうという前向きな気持ちになれたという。やっぱり,人間 悩んで成長するものだ。そんな時,それを温かく見守ってくれる人が職場にいたらどれほど心強いことか。

 就職活動中に,自分がしたいことをするか,就職活動を優先するかで思い悩んでいた若者に親がかけた言葉は,『今が一番若い。どんな時も,今が1番若いのだから,何をするにも遅いことはない。自分の心に従って後悔しない決断を』というものだった。“なるほどそうだな”と年甲斐もなく感心してしまった。しかし,いざ自分の子どもに向かってこれほどおおらかなことを言えるかどうか。アドバイスを授ける側にもそれなりの責任と覚悟が求められる。

 このコラムをお読みのGS経営者・管理職の方々も,これまで幾度となく部下や後輩をなだめたり,おだてたり,励ましたりしてきたことだろう。そして,恐らくその大半において,こちらの意図を十分伝えられず,徒労に終わったに違いない。将来,会社の先頭に立って引っ張ってほしいと考えていた若い社員が,「この会社は好きなんですが,いまよりもっと高い賃金のところで働きたいので」と言ってきたら,幾ら会社の将来や若者への期待を熱く語っても叶わない。“ああ,もっと給料が払える会社にしたいなぁ”と嘆く経営者。若年労働者の争奪が激化しつつある今日,GS業界がいまのままの収益構造を続けてゆけば,ますます有望な人材の確保が厳しくなってゆくのは目に見えている。

 最近は,カード獲得や油外商品販売を個人別に目標管理しているGSが多い。当然,伸び悩むスタッフがいる。辛抱強く,長い目で見守ってやりたいが,目標達成を求められるマネジャーにとっては,そんなに悠長に構えてもいられない。いきおい語気は荒くなり,言葉は辛らつになる。「お前,もっとやる気出してガンバレ!」─。でもこれ,もっとも相手を落胆させるフレーズなんだって。しかし,人間,そんなに気の効いた言葉をいつでもすぐに発することなんてできない。ついつい「ガンバレ」と連呼してしまい,部下をますます落ち込ませてしまうという悪循環になってしまうのだ。常日頃からよく準備しておかないと“心に響くアドバイス”なんてできない。

 私が父の経営するGS経営会社に入社したのはいまから30年以上も前のこと。以降,父の早世に伴い,20代で会社の経営に携わらざるを得なくなり,数限りない失敗と挫折を経験して今日なお生きながらえているわけだが,いまになって,親であり上司であり師匠でもああった父の言葉が幾つも思い出される。最近その重さをしみじみと感じる一言は,『なあ信治,ガソリンスタンドってぇのはな,たくさん買って早く払う。これが一番大事なんだ』─。

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