セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.533『必要のない職業』

社会・国際

2014-11-10

 「20年後,あなたが望もうが,望むまいが,現在の仕事のほとんどが機械によって代行される」─先ごろ,グーグルの創業者 ラリー・ペイジ氏が新聞のインタヴューに答えてこう語った。また,オックスフォード大学が行なった調査によれば,現在人間が行なっている47㌫の仕事が,20年以内に機械に代行されると推測されている。

 いまは超がつくほどの人手不足だが,子供たちが大人になった頃には,世の中は“仕事不足”となっているかもしれない。もちろん同時に,いまは存在しない様々な職業が創出されるだろうが,ビル・ゲイツは「特に大したスキルを必要としない仕事は次の20年でどんどん少なくなる。だけど,まだ誰も心の準備ができていないように感じます」と警告している。

 では,具体的にどんな職業が消えてしまうのか。米国の人材サービスの会社が,労働統計データをもとに行なった調査によると,2022年までに消滅もしくは激減していると目されている職業の第1位は郵便配達員。Eメールやオンライン請求の普及などで,ほとんど必要なくなると見られている。第2位はメーターの計測係。電気,ガス,水道各社が電子計測器の導入を進めることで,わざわざ見に行かずともデータが送られてくるようになる。第3位は新聞記者。オンラインニュースの台頭により,新聞購読者が減り,購読料,広告料共に激減。新聞社が多くの記者を雇うことができなくなる─。

 以下,ツアーコンダクターやフライトアテンダント,製紙会社や印刷業者,裁縫師,時計の修理工,税務調査官,スポーツの審判などが,IT化が進むにつれ,必要なくなるのだそうだ。なぜか,ガソリンスタンドが入っていないが,私なりに考えるに,この調査で対象となった職業は,そう簡単にはなくならないだろうと思えるような職業ばかりである。一方,すでに電気自動車や燃料電池車が巷を走っている時代にあって,GSは2022年まで待つことなく,当然無くなっていると考えられているのだろう。

 実際,現在でもセルフシステムのGSであれば,無人で運営することはほぼ可能であり,複数の店舗を一人か二人で遠隔監視・操作しながら運営することも可能だ。ただし,日本では郵便配達員が郵便法で守られているのと同様,GS店員も消防法によってその必要性を保障されている。しかし,今後TPPなど国際社会からの市場開放圧力にさらされれば,「大胆な規制緩和」の名目で,現行法が改正または撤廃されてしまう可能性は十分考えられる。

 一方,前述のオックスフォード大学の調査によれば,「コンピューターに代替されにくい職業」の第3位には,「緊急事態の管理監督者」が,第10位には「消防監督者」が入っているので,やはりセルフ先進国の米国でも,GSの完全無人化は難しいと考えられているのかもしれない。いずれにせよ,GSを安全に運営するためのスキルを持つ人材だけが必要とされるのであって,それ以外のものは必要ないということでもある。そこには,機械には給料を払う必要がないという冷徹なコスト感覚が存在する。そんな夢のない話は聞きたくないと思うかもしれないが,ラリー・ペイジが言うとおり「望もうが,望むまいが」,そういう時代がもう到来しているのである。

 ちなみに,「コンピューターに代替されにくい職業」の第1位は「レクリエーションセラピスト」。ゲームやスポーツなどのリハビリ的側面を利用し,人間の本来の欲求である「楽しみ」や「喜び」を通して,高齢者や障がい者のリハビリ,治療を促すお仕事なのだそうだ。未来の世でも“癒し”は必要ということか。

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