セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.549『マーク統合』

政治・経済

2015-03-09

 コンビニ業界3位のファミリーマートと,同4位のサークルKサンクスを参加に持つユニーグループ・ホールディングスとが経営統合に向けた協議に入った。ファミマの上田準二会長は取材に対し,「交渉は一気に進める必要がある」と述べ,早期合意をめざす考えを示した。統合協議の背景には,国内の消費低迷と業界を取り巻く厳しい事業環境がある。国内のコンビニの店舗数は5万店を超え,新たな出店余地が少なくなっているうえ,去年4月の消費税増税後,コンビニ各社の既存店売上高は,業界トップのセブン-イレブンを除いてマイナスが続いている。特にサークルKサンクスの落ち込みは深刻で,売上高が伸びず,近年は西日本を中心にセブン-イレブンやローソンにくら替えするフランチャイズ店が相次いでいたのだという。

 私自身は,どこのコンビニも大して変わりないように思っているので,“フライドチキンは「ファミチキ」が一番”とか“「ローソン」のロールケーキは激ウマ”などという声を聞いてもピンとこない。しかし,コンビニが外食産業の最大の脅威となっているのは事実であり,その商品開発力が系列店の命運を握っているとされる。どのブランドのサインポールを掲げるかが,自分の店の死活問題に直結するのである。こんなことは,GS業界ではあまり聞かない。どこかのGSがマーク替えするとしても,大抵は,前の元売との関係がうまく行かなくなって別れたうえでの“化粧直し”で,“どこそこのマークのガソリンを売ってみたかった”などというGS経営者の声をついぞ聞いたことがない。

 ファミマの上田会長は,「まだ決まっていないが」と断りつつも,統合が実現した際には,三つのブランドを,「一緒にする必要がある」と明言したが,これには少し驚いた。「ファミマ」が存続ブランドになるだろうというのが大方の予測だが,もしそうなればサールKサンクスの系列店にとっては,自分たちが掲げてきたマークが消滅することになり,感傷的な反発を感じる経営者も出てくるかもしれない。ゆえに,統合の話が出た時には,社名やブランド名の問題はなるべく曖昧にして,系列店の静謐を保つのが常だ。それを早々と「一緒にする」と明言したのは,「ファミマ」ブランドに対する強い自信の表れか,はたまた,世間が“おっ”となるような新しいブランドでの統合を目指すのか。いずれにせよ,コンビニ業界の闘いは,新たな局面を迎えることになりそうだ。

 一方,GS業界では昨年末に出光と昭和シェルの統合が報じられたが,2ヶ月以上が経ち,“そんな話もあったよね”的な感じになっている。ましてや,異なる二つのマークを如何するのかなんて話題は,口にするのもはばかられるとばかりに,沈黙している。いや,むしろ,GSのマークがどう変わろうが,世間一般にはあまり関係のないことなので,話題にならないのかも。元売自身もそう自覚しているのかもしれない。例えば,エッソ,モービル,ゼネラルの三つのマークを統一したところで,それに見合う費用対効果が望めないことがわかっているからこそ,エクソンはこれをそのままにしているのではないだろうか。

 ところで,コンビニ業界の再編は,GS業界にも少なからぬ影響をもたらす。もし,ファミマとサークルKサンクスが一緒になると,それぞれが提携する「Tポイント」と「楽天ポイント」はどうなるのか。「Tポイント」はJXと,「楽天ポイント」は出光と提携しているが,相乗りできるのだろうか。そして,その出光が本当にシェルと一緒になったら,シェルとローソンが提携している「ポンタポイント」は出光でも使えるようになるのか。もしかしたら,それぞれのポイントカードが縁となって,コンビニ・GS業界の新たな合従連衡が生まれるかもしれない。

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