セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.580『データ改ざん』

エンタメ・スポーツ

2015-10-19

 旭化成が打ち込んだ杭と,東洋ゴムの免震ゴムが使用されている土台の上に建てられたマンションに住んでいる人は,いまや不安と憤懣を抱きながら毎日を過ごしていることだろう。後を絶たないデータ改ざん事件。貪欲な経営者や,怠慢な技術者が,少しでも利益を得よう,楽をしようとして不正を働いたため,大勢の人の命が危険にさらされるというニュースを見聞きするたびに,私は幾つもの映画を思い出してしまう。

 1975年に公開された「タワーリング・インフェルノ」という米国映画はその代表作のひとつ。ロスにそびえ立つ超高層ビルの落成式の日,電気工事の責任者(建設会社社長の娘婿)が,私腹を肥やすために規格を下まわる製品を使っていたため火災が発生,阿鼻叫喚の地獄絵図となる。決死の消火活動に挑む消防隊長に扮するのはステーブ・マックィーン!いや~かっこよかった。

 「カプリコン・1」(′77)という映画もあった。人類初の有人火星探査ロケット「カプリコン・1」の発射数日前に,生命維持装置に安全基準を満たしていない部品が使われていることが発覚。しかし,ここで発射を中止したら,今後の宇宙開発計画が頓挫してしまうということで,NASAは驚くべき陰謀を企てる。それから先は,まあ見てごらんないさい。めちゃくちゃ面白い映画なんだから!

 もう一本だけ紹介させてくれ~。「チャイナシ・シンドローム」(′79)は原子力発電所のストレステストのデータが偽装されていることを内部告発しようとする技師と,それを報道しようとする女性キャスターのお話。原発がある町に暮らしている人は一度見たほうがいい。背筋が寒くなること請け合いの第一級の社会派スリラーだ。

 まだまだ紹介したい“データ改ざん事件映画”(ってどんなジャンルだ?!)は幾つもあるが,とにかく,先に起きた中国・天津での倉庫爆発事故(許可量の30倍もの危険物質が貯蔵されていた)といい,フォルクスワーゲンの不正事件(ディカプリオが映画化するらしい)といい,いまや映画顔負けの惨事が次々に起きる時代なのだと痛感させられる。

 ところで,「改ざん」の「ざん」は,漢字で書くと「竄」という字で,「のがれる」とか「かくれる」という意味がある。字の中にネズミが潜んでいるのは,やはり,こそこそと動き回る小動物の様子を連想させるからなのだろう。あるいは,何かを「改竄」して,不正な利益を得た者は,その後,びくびくとネズミのように過ごして行かねばならないという警告を含んでいるのかもしれない。

 GS業界でも,ごく稀に,質の悪い製品を偽装して販売する悪質な業者が摘発されることがあるものの,業界の信用を失墜させてしまうような(映画化されるような?)大それた犯罪はこれまで起きたことがない。消防法や品確法,計量法など,様々な規制が幾重にもかけられているGSは,ごまかしようのない業種といえるのではないか。

 しかし,肝心の製品に,データ改ざんや偽装があれば大変なことになる。系列マークを掲げるGSも,私のような独立系GSも,仕入れている製品は元をたどれば同じ製油所で作られたものだ。そこで,利得を増やそうと,愚かな企みがなされれば,GS業界やエンドユーザーに計り知れない損害をもたらすことになる。石油元売の皆様におかれましては,くれぐれも商道徳を逸脱することのなきよう,肝に銘じていただきたい。

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