セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.597『うるう年』

社会・国際

2016-02-23

 今年2016年は,四年に一度の「うるう年」である。2月の日数が一日増えるのだが,これは,一年の日数が365日ではなく365.24…日なので,そのずれを調整するためである。ただし,このペースを続けると,四年で一日増やしても0.04日足らず,一年で0.01日足らない計算になる。そこで,「100で割り切れる年はうるう年としない」という規定が付加されている。したがって,西暦2100年の2月は平年どおり28日しかない。読者の大多数には関係ない話だが。

 ただし,2000年の2月には29日があった。これはなぜかというと,「400で割り切れる年はうるう年とする」という,もう一つの日数調整が働いたからで,日本でも2000年問題と相まって,一部の金融機関や行政機関のコンピューターシステムなどに混乱を生じさせた。ちなみに次回の該当年は,2400年。その頃までには“ガソリンスタンドって何?”と言われていることだろう。

 うるう年の制度を取り決めたのは古代ローマ人である。暦の数え方はいまでも様々あるようだが,古代ローマ暦から発展した現在のグレゴリオ暦が,暦のスタンダードとされている。では,なぜ2月に日数調整するのかといえば,ローマ暦では一年の始まりが3月だったからで,当時の年末に当たる2月末日に調整を加えたということだそうだ。ちなみに,後年,一年の始まりを1月に変更したのもローマ皇帝である。暦は,ローマ帝国が人類史に残した最大の遺産と言っても良い。

 今月は,この古代ローマ人の知恵の恩恵を受けることになる。販売量も売上額も一日分増えるわけだし,月末の支払いは一日延びる。まあ,他の月と比べればそれでも1日ないし2日短いわけだから,2月は商売をする者にとってはあまり有難い月ではないのだけれど,やはり一日トクした気分にはなる。“毎年やるのはしんどいけれど,四年に一度ぐらいだったらできるかも”なんて事があれば,トライしてみては。例えば,お客様への感謝の気持ちを込めてガソリンを原価で売るとか…え? 年中毎日やってる奴がいるって?!

 四年に一度のこの日に,歴史上のどんな出来事が起きたかを「ウィキペディア」で調べてみると,1936年にあの「2.26事件」が事実上終息している。陸軍皇道派青年将校が1,483名の下士官兵を率い「昭和維新」と称して政府中枢を襲ったクーデター事件だが,彼らが頼みとした天皇がこれに不快の念を抱き,終始鎮圧の姿勢を貫いたことで,わずか4日で失敗に終わった。しかし,これによりテロの恐怖が政治家たちに深く浸透し,太平洋戦争へと突き進む軍部を抑えることができなくなったと言われている。

 GS業界でも,あっちこっちで“安売りテロ”が勃発しているが,これに引きずられるようにして,セルフもフルも,系列もPBも,大手も小手も,価格戦争による出血を強いられている。“こんな愚かなことはもうやめなさい”と諭す人は元売にも石商にもおらず,あきらめムードが蔓延している。歴史的な原油安が続いているというのに,儲けることは罪だとばかりに戦火を拡大させている昨今の状況だが,一日も早く鎮圧させないと,次のうるう年までには相当数のGSが消滅していることだろう。

 かつて英国では,2月29日だけは女性から男性にプロポーズすることが公認されており,男性はそれを断ることができないとされていたそうだ。GS業界でも2月29日には,GS経営者がどこでも好きな系列に転籍できるようにしてみれば。プロポーズされた元売や商社は断ることができないのだ。多少,業界が活性化されるかも─。いや,やはり大した効果はなさそうだ。四年後には日本には元売は二つしかないだろうから,PBになる道と合わせても,選択肢は三通りしかないに違いない。GS業界にとっては「憂う年」になっているかも。

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